レミニール(ガランタミン)の作用機序:アルツハイマー型認知症治療薬
世界初のアルツハイマー型認知症治療薬であるドネペジル(商品名:アリセプト)が1999年に日本で発売され、長い間認知症の治療薬が1剤だけという状況でした。
そのような中、2011年になってようやくアリセプト以外のアルツハイマー型認知症治療薬として3剤が発売されるようになりました。この中の1つとして、ガランタミン(商品名:レミニール)があります。
ガランタミン(商品名:レミニール)の作用機序
私たちの脳は神経伝達物質を介して記憶・学習を行なっています。この時の記憶・学習に大きく関わっている神経伝達物質としてアセチルコリン(ACh)があります。
アルツハイマー型認知症の患者さんでは、脳内のアセチルコリンの量が減ってしまっています。その結果、物忘れだけでなく性格が変わってしまったり、徘徊行動を行ったりするようになります。
記憶・学習に関わるアセチルコリンの量が減っているためにアルツハイマー型認知症の症状が表れています。そのため、薬によってアセチルコリンの量を増やすことが出来れば、認知症の症状を改善できることが分かります。
この時、ガランタミン(商品名:レミニール)はアセチルコリンの量を増やすように働きます。
神経伝達に関与するアセチルコリンですが、このアセチルコリンを分解する酵素が存在します。この酵素をアセチルコリンエステラーゼ(AChE)と呼びます。
つまり、この酵素を阻害してしまえば、アセチルコリンが分解されずに済むことになります。その結果、アセチルコリンの量が増えて、アルツハイマー型認知症による記憶・学習を改善することができます。
これが、ガランタミン(商品名:レミニール)の主な作用機序となります。
ガランタミン(商品名:レミニール)によるAPL作用
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害作用だけでなく、ガランタミンにはAPL作用という特性も保有しています。APL作用とは、簡単に考えれば「受容体の感受性を高める作用」と考えれば良いです。
いくらアセチルコリンの量が増えたとしても、アセチルコリンが作用するための受容体がなかなか反応してくれなければ意味がありません。そこで、ガランタミンはアセチルコリン受容体がより敏感に反応するように調整します。
これによって、アセチルコリンによる記憶・学習作用を効率的に上昇させることが出来るようになります。
このように、アセチルコリンの量を増やすだけでなく、その受容体の感受性まで高めるように作用する薬がガランタミン(商品名:レミニール)です。
より詳しく言えば、アセチルコリン受容体にはムスカリン性アセチルコリン受容体とニコチン性アセチルコリン受容体があります。この中でも、APL作用としてガランタミンはニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の作用を強めます。
アセチルコリン単独でも記憶・学習に関わるシグナル伝達を伝えることが出来ますが、ここからさらにガランタミンが作用するとより効率よくシグナルを伝えることが出来るようになります。
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