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ウルティブロ(インダカテロール・グリコピロニウム)の作用機序:COPD治療薬

 

タバコによる喫煙が主な原因となり、肺機能が落ちてしまうことで息切れなどが生じてしまう病気としてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)があります。

 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)では、気管支に炎症が起こることで風邪のような症状が表れる「慢性気管支炎」や酸素や二酸化炭素の交換に関わる肺胞が破壊されてしまう「肺気腫」を発症してしまいます。これらCOPDの原因の約9割が喫煙だとも言われています。

 

そこで、これらCOPDによる症状を改善する薬としてインダカテロール・グリコピロニウム(商品名:ウルティブロ)が使用されます。ウルティブロは気管支を拡げる「β2受容体刺激薬」と気道の収縮を抑える「抗コリン薬」の2つが配合された薬となります。

 

 

 インダカテロール・グリコピロニウム(商品名:ウルティブロ)の作用機序
加齢によって息切れがすると思っていたら、実はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)であったということもあります。これらCOPD(慢性閉塞性肺疾患)では気管支に炎症が起こったり、肺胞が壊されたりすることによって呼吸が苦しくなってしまいます。

 

そこで、これら呼吸症状を改善するためには、空気の通り道である気道を拡張させれば良いことが分かります。この時に重要となる受容体として、β2受容体があります。

 

β2受容体は気管支に存在しており、この受容体が刺激されると気道が広がります。つまり、β2受容体刺激薬を投与すれば、「COPDによる呼吸が苦しい状態」を改善できることが分かります。

 

 気管支喘息とβ2受容体刺激薬

 

このように、β2受容体を刺激することで気管支拡張作用を示す薬としてインダカテロールがあります。

 

また、気道に対して「気管支を収縮させる物質」が作用することがあります。気管支が縮まると、その分だけ気道が狭くなるために呼吸がしにくくなります。このような気管支の収縮に関与する物質としてアセチルコリンが知られています。

 

そのため、アセチルコリンの働きを阻害できれば、気管支が収縮する過程を抑制できることが分かります。その結果、気道が拡がるようになります。

 

アセチルコリンが作用するための受容体の阻害物質を総称して抗コリン薬と呼びます。COPDを治療するための抗コリン薬として、グリコピロニウムが利用されます。

 

そして、β2受容体刺激薬である「インダカテロール」と抗コリン薬である「グリコピロニウム」の2つを合わせた薬がウルティブロです。

 

 

 インダカテロール・グリコピロニウム(商品名:ウルティブロ)の特徴
ウルティブロに含まれるβ2受容体刺激薬と抗コリン薬はそれぞれ単独で発売されています。β2受容体刺激薬はインダカテロール(商品名:オンブレス)として、抗コリン薬はグリコピロニウム(商品名:シーブリ)として利用されています。

 

両成分とも長時間作用型の薬剤であり、1日1回使用することで長い期間に渡ってCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の症状をコントロールします。

 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の症状が進行してくると、患者さんによってはβ2受容体刺激薬と抗コリン薬の併用が行われるようになります。2つの薬を併用することによる有用性もこれまでに示されています。

 

ただし、専用の吸入器を用いる必要があるため、2剤を併用するとなると一度に異なる吸入器を使用することになります。COPD患者の多くは高齢であり、服用回数を少なくすることで薬を使用しやすくすることが求められます。

 

そこで、初めてβ2受容体刺激薬と抗コリン薬の2つが合わさった薬として発売された医薬品がウルティブロです。

 

薬を投与して5分後から呼吸機能を改善させることができ、COPD(慢性閉塞性肺疾患)による症状の増悪を抑制することができます。

 

ただし、本剤は病気の症状を抑える長期管理薬になります。そのため、COPDによる発作が起こり、急に呼吸が苦しくなるような急性増悪期の治療に使用する薬ではありません。

 

このような特徴を有し、2つの薬を組み合わせることによって長期に渡ってCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の症状を改善する薬がインダカテロール・グリコピロニウム(商品名:ウルティブロ)です。

 

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