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医薬品の作用機序 ＞ アレルギー性疾患の治療薬 ＞ リザベン（トラニラスト）

リザベン（トラニラスト）の作用機序：ケミカルメディエーター遊離抑制薬

 

気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などはアレルギー反応に伴って起こる症状です。そのため、これらアレルギー症状を抑えるために薬が使用されます。

 

アレルギー反応を抑える薬として、トラニラスト（商品名：リザベン）が利用されます。トラニラストはケミカルメディエーター遊離抑制薬と呼ばれる薬になります。

 

 

　ケミカルメディエーター遊離抑制薬の作用機序
アレルギー反応を引き起こす物質として、ヒスタミンやロイコトリエンと呼ばれる物質があります。これらの物質が放出され、それぞれが作用を表すことによって気管支喘息やアトピー性皮膚炎などの症状が表れるようになります。

 

これらヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギー反応を引き起こす物質を総称して、ケミカルメディエーターと呼びます。

 

その上で、これらケミカルメディエーターが放出されるためにアレルギー反応が起こります。そこで、「ケミカルメディエーターが遊離していく過程」を阻害してやります。すると、アレルギー反応を抑制することができるようになります。

 

この時、「ヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターの遊離を阻害する薬」がケミカルメディエーター遊離抑制薬です。

 

　

 

ケミカルメディエーターは肥満細胞などの免疫細胞から放出されます。その上で、ケミカルメディエーター遊離抑制薬は「肥満細胞の細胞膜を安定化する作用」をもっています。

 

アレルギー反応を起こすためのシグナルが来たとき、肥満細胞は細胞膜を変化させてケミカルメディエーターを放出します。そこで、シグナルが来ても何も反応を引き起こさないように肥満細胞の膜を安定化させておくのです。

 

これにより、アレルギー反応を抑制することができるようになります。

 

 

　トラニラスト（商品名：リザベン）の特徴
ケミカルメディエーター遊離抑制薬の特徴として、この薬は既に出ている症状を抑えるよりも、「これから起こるアレルギー反応を抑制する薬」になります。

 

トラニラスト（商品名：リザベン）は既に放出されているヒスタミンやロイコトリエンなどの物質を抑えることはできません。しかし、これの物質の放出を抑えることで、これから表れるであろうアレルギー症状を抑制する事ができます。

 

そのため、気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の発生を予防する薬としてトラニラストが使用されます。

 

臨床試験では、次のような結果が得られています。

 

効果判定	気管支喘息	アレルギー性鼻炎	アトピー性皮膚炎	ケロイド・ 肥厚性瘢痕
有効以上	43.6	45.9	48.5	59.7
やや有効以上	69.2	76.0	71.8	87.2

 

このような作用をもち、アレルギー症状を改善する薬がトラニラスト（商品名：リザベン）です。