ケタス(イブジラスト)の作用機序:ケミカルメディエーター遊離抑制薬
気管支喘息を発症すると、激しい咳が続いてしまいます。空気の通り道である気管支に炎症を生じることで、日々の生活が困難になります。
また、脳梗塞などを発症すると、脳の血流が悪くなるためにめまいなどの症状が起こるようになります。これによっても、日常生活に支障をきたすようになります。
そこで、これらの症状を改善するために使用される薬としてイブジラスト(商品名:ケタス)があります。イブジラストはケミカルメディエーター遊離抑制薬と呼ばれる種類の薬になります。
イブジラスト(商品名:ケタス)の作用機序
気管支喘息はアレルギー疾患の1つです。アレルギーの発症には、免疫の働きが大きく関わっています。病原微生物が外から侵入してきたとき、これを退治するために免疫は重要です。免疫が正常に働いているからこそ、私たちは感染症に罹りにくいのです。
しかし、免疫の働きすぎによって病気を発症することがあります。その代表例が、先に挙げたアレルギーです。気管支喘息は免疫が活性化しすぎることによって生じるのです。
異物が侵入してきたとき、免疫はヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギー物質を放出します。これがきっかけとなり、異物の排出を促します。例えば、咳をすれば病原微生物を外に出すことができます。ただ、人によっては気管支が過敏になっており、ちょっとした刺激で咳を生じることがあります。これが気管支喘息に繋がります。
これらヒスタミンやロイコトリエンを総称して、ケミカルメディエーターといいます。免疫細胞からケミカルメディエーターが放出されることで、気管支喘息が起こるのです。そこで、ケミカルメディエーターが遊離する過程を阻害すれば、気管支喘息の症状を抑えることができるようになります。
このような考えにより、アレルギーを引き起こす物質が放出されないように作用して、気管支喘息を治療する薬がイブジラスト(商品名:ケタス)です。
イブジラスト(商品名:ケタス)の特徴
気管支喘息の治療薬としてだけではなく、イブジラスト(商品名:ケタス)は脳循環を改善させる薬としても利用されます。これにより、脳梗塞後に起こるめまいなどを軽減します。
私たちの体内には、「血管拡張作用」「抗炎症作用」「抗血栓作用」「神経保護作用」などを有する物質が存在します。この物質をcAMPといいます。そこで、この物質を増やすことができれば、脳血管に作用して先に挙げた効果を得られるようになります。
ただ、cAMPは酵素によって分解されます。この酵素をPDE(ホスホジエステラーゼ)といいます。そこで、PDEの働きを阻害すれば、脳循環の改善に関わるcAMPの量を増やせるようになります。
このような作用機序により、イブジラスト(商品名:ケタス)は脳血管障害に対して利用されます。脳梗塞後のめまい、ふらつき、立ちくらみに対して使用します。
なお、アレルギーの治療薬としては、抗ヒスタミン薬と呼ばれる種類の薬が多用されます。ただ、抗ヒスタミン薬は眠気などの副作用があります。その点、イブジラスト(商品名:ケタス)は抗ヒスタミン薬とは作用機序が異なるため、眠気などの副作用はありません。
このような特徴により、気管支喘息の症状を抑えたり、脳循環を改善してめまいを軽減したりする薬がイブジラスト(商品名:ケタス)です。
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