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役に立つ薬の情報~専門薬学

エピペン(アドレナリン)の作用機序:アナフィラキシー補助治療剤

 

ハチに刺されたり食物アレルギーを発症したりすると、アナフィラキシーショックに陥ることがあります。アナフィラキシーでは、免疫が過剰に反応することで血圧の低下や血流の漏出などが起こります。

 

これによってショック状態に陥り、最悪の場合は死に至ります。

 

そこで、アナフィラキシー状態から脱するための緊急薬としてアドレナリン(商品名:エピペン)が使用されます。自分でアドレナリンを打てるようにした製剤であり、アナフィラキシー補助治療剤と呼ばれます。

 

 

 アドレナリン(商品名:エピペン)の作用機序
感染症に罹ったりケガをしたりすると、炎症が起こります。炎症を生じると、組織が腫れて白血球などの免疫細胞が集まってきます。これは、感染症が悪化しないようにするための正常な防御反応です。つまり、炎症は体にとって必要な反応なのです。

 

ただ、この反応が行き過ぎると命が危険な状態にさらされます。血管が広がることで血圧が下がったり、血管内から血液が外に漏れ出したりしてしまうと、正常に血液を送れなくなります。

 

こうして、体のあらゆる組織が機能不全に陥ります。これが、いわゆるショック状態です。最初は冷汗や不安感などを覚えるようになり、次第にけいれんや意識障害にまで発展します。

 

この状態を改善するためには、素早く血管を収縮させ、心臓の機能を高めて全身の血流を元の状態に戻す必要があります。そこで、アドレナリンを投与します。

 

アドレナリンには、交感神経を活発にさせる作用があります。交感神経とは、私たちが運動をしたときに活性化される神経系です。運動時、空気を取り入れるために気道が広がります。心臓の拍動は早くなり、血管収縮によって血圧が上がります。これは、アドレナリンが運動時に放出されるからです。

 

 血管収縮

 

そこで、外からアドレナリンを投与すれば、これら運動時に起こる反応を作りだすことができます。アナフィラキシーショックが起こっている場合であれば、血管収縮や心機能亢進などにより、症状の悪化を防ぎます。

 

このような考えにより、アナフィラキシーショックを生じた際に使用することで、血圧を高めるなどの作用によって命を繋ぎとめる薬がアドレナリン(商品名:エピペン)です。

 

 

 アドレナリン(商品名:エピペン)の特徴
林業を行うために蜂に刺される危険性のある人や食物アレルギーをもっている人など、医師が処方すればアドレナリン(商品名:エピペン)を携帯することができます。実際にアナフィラキシーを生じた場合、素早く太ももの前外側に筋肉注射をする必要があります。

 

アナフィラキシーショックが起こると、救急車を呼ぶのが一般的です。ただ、救急車が到着するまでの数分の間で急速に容体が悪化するため、これを繋ぎとめるためにアドレナリン(商品名:エピペン)は重要です。

 

そのため、「迷わず」にアドレナリン(商品名:エピペン)を投与しなければいけません。本人が投与困難な場合、周りの人が手伝うことも有効です。人命救助になるため、どのようなことがあったとしても罪に問われることはありません。むしろ、何もしない方が問題であるとされます。

 

アドレナリンの半減期(体内で薬の濃度が半分になるまでの時間)は3~5分であるため、薬の作用時間は10~15分程度と短いです。あくまでも、アドレナリン(商品名:エピペン)は補助剤としての位置づけです。

 

ただ、重篤なアナフィラキシーショックは、蜂に刺されたら15分以内、食物アレルギーの場合は30分以内に起こるとされています。それまでに薬剤を投与することで、症状を大幅に軽減できることに大きな意味があります。

 

なお、注射後は容器内に大部分の薬液が残ってしまいます。しかし、これらを再度注射することはできません。

 

このような特徴により、アナフィラキシーなどの緊急時に使用することで、ショック状態を軽減する薬がアドレナリン(商品名:エピペン)です。

 

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