キュバール(ベクロメタゾン)の作用機序:気管支喘息治療薬
気管支喘息では空気の通り道である気管支が狭くなることにより、呼吸が苦しくなってしまいます。
気管支喘息では気道に長い間炎症が起こっており、痰などの分泌が詰まっています。ここに刺激が起こると、喘息発作を起こして息ができなくなり、最悪の場合は死に至ります。
この状態を改善するために使用される薬としてベクロメタゾン(商品名:キュバール)があります。ベクロメタゾンはステロイドですが、気管支喘息の治療では吸入薬として使用されます。
有効性の高い吸入ステロイド薬
気管支喘息治療薬の中でも、吸入ステロイド薬は特に有用性の高い薬の1つです。ステロイドと言うと恐いイメージを持っている人もいますが、吸入薬として使用する場合は問題ありません。
ステロイドの副作用が問題となるのは「経口薬として口から服用した時」や「注射薬として投与した時」となります。この場合であると、ステロイドは全身を巡って体中の組織に作用するようになります。その結果、強力な副作用が表れます。
それに対して、吸入薬では気管支や肺にのみ作用させることができます。もし肺から血液中に薬の成分が移行したとしても、すぐに代謝されて薬としての作用を失うように設計されています。そのため、吸入ステロイド薬ではステロイド特有の副作用が問題となることはほとんどありません。
これらステロイドは、炎症に関わるシグナルの産生を抑えることで抗炎症作用を示すと考えられています。気管支の炎症が抑えられるため、痰などの分泌物が減ることで空気の通り道が広がります。
このように、気管支や肺にのみ作用することで強力に炎症を抑える薬がベクロメタゾン(商品名:キュバール)です。
ベクロメタゾン(商品名:キュバール)の特徴
ステロイド吸入薬にはいくつもの種類があります。薬の粒子が小さいほど肺の奥まで届くため、粒子径が小さいステロイド吸入薬の方が効果が高いとされています。ベクロメタゾン(商品名:キュバール)の粒子は他のステロイド吸入薬よりも小さいため、より効率的に患部に薬を届けることができます。
ベクロメタゾン(商品名:キュバール)の肺内到達率は約40%です。肺内到達率が20%に満たないステロイド吸入薬もあることから、ベクロメタゾン(商品名:キュバール)は肺内到達率の高い薬であることが分かります。
なお、ベクロメタゾン(商品名:キュバール)にはアルコールが含まれています。アルコールを添加することでベクロメタゾンの成分を溶かし、懸濁液ではなくて溶液にすることを可能にしました。これによって小さい粒子径となり、肺への到達率も高くなります。
ただし、当然ながら薬を使用する時には微量のアルコールに触れることになります。そのため、喘息患者の中でもアルコールに対して過敏な方はベクロメタゾン(商品名:キュバール)の使用を避けて他のステロイド吸入薬を使用しなければいけません。
このような特徴によって気管支喘息による炎症を取り除く薬がベクロメタゾン(商品名:キュバール)です。
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