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  ステロイド物語:マスコミの功罪

日本においてステロイドは恐ろしいものというように認識されています。しかし、これは誤りです。実際には、正しく使えばステロイドはとても有用な薬です。

ステロイドに関する研究ではヘンチ、ケンダル、ライヒシュタインの三人の医師がノーベル賞を受賞しました。

今回、「ステロイド発見の秘話」と「なぜ日本でステロイドが危険な薬と認識されたか」について触れていきたいと思います。

 ステロイド発見
メイヨークリニックに勤務するケンダルは世界で初めて副腎皮質からステロイドの一つであるコルチゾンの抽出・精製に成功しました。そして、その後ライヒシュタインによってコルチゾンの化学構造が決定されました。

1948年、ケンダルと同じメイヨークリニックに勤務する医師ヘンチは「リウマチの治療に有効な薬はないか」と考えていました。

ちょうどそのとき、同僚のケンダルが「コルチゾン」という物質を発見したという事を聞き、さっそく薬のサンプルを提供してもらうようにお願いしたのです。コルチゾンは当時まだ未知の物質でした。

ヘンチはリウマチで苦しむ13歳の少女に世界で初めてコルチゾンを投与しました。すると、翌日少女はベッドの横で踊れるようになるほど回復したと言われています。これがニューヨークタイムズの一面を飾り、「奇跡の薬」として騒がれました。

当時、「ステロイドはもともと成体の成分だから、副作用はそれほどないだろう」と考えられていました。しかし、実際には「骨粗鬆症」や「ムーンフェイス」などの重篤な副作用があったのです。

ステロイドにはたしかに重篤な副作用がありますが、適切に薬を使用すれば良いというだけのことです。そのために医師・薬剤師がいるのです。

なお、気管支喘息にステロイドを用いるのは吸入によるものであり、全身に対する作用はほとんどありません。そのため、副作用は少ないです。

 日本人のステロイド嫌いな理由
日本でステロイドが敬遠されるのはマスコミのせいです。マスコミの一方的な報道のせいで有用な薬であるステロイドを国民が怖がるようになってしまったのです。

2004年3月26日まで放送されていた有名なニュース番組に「ニュース・ステーション」がありました。そして、1992年7月この番組で「ステロイドの副作用に関する特集」が組まれました。

この特集の最後に司会の久米宏は「ステロイド外用剤は最後の最後まで使ってはいけない危険な薬」と発言してしまったのです。それからというもの、国民は「ステロイド=怖い薬」と認識してしまいました。

ステロイドを使用すれば簡単に治療できる病気でも、患者に「ステロイドを使うのだけはやめてほしい」と言われたら、医師は他の薬に変えるほか仕方がありません。

そして他の薬に切り替えることにより、かえって症状を悪化させてしまうという変な状況に陥ったのです。

マスコミが与える影響はとても大きいです。そのことを踏まえて、マスコミ関係者は適切な発言をしなければなりません。マスコミの報道を信じ切ってしまう私たちも問題ですが…。