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役に立つ薬の情報~専門薬学

ソリブジン物語:この世から消えた有用な医薬品

 

ソリブジン事件とは、帯状疱疹治療薬ソリブジンと抗がん剤フルオロウラシルを併用した患者さんで、白血球や血小板が激減するなどの重篤な血液障害が発生した薬害事件のことです。

 

これによって、ソリブジン発売後の一年間で15名もの人が死亡しました。

 

 

 

 ソリブジン薬害事件
この事件の発生後に明らかになったこととして「臨床試験の段階でソリブジンとフルオロウラシルの併用によって、患者3人が死亡していた」という事実があります。

 

また、死亡例報告後から事実が公表されるまでにソリブジンを販売していた製薬企業の社員が同社株を売却したことで、インサイダー取引容疑が疑われました。

 

ソリブジン事件で学ぶことができる教訓としては、「発売後の新薬は慎重に使用しなければいけない」という事です。

 

当時、がん告知は一般的ではありませんでした。そのため、複数の医療機関を受診している患者さんの場合、抗がん剤フルオロウラシルを服用しているかどうかの把握は難しかったことが予想されます。

 

ソリブジン事件を受け、ソリブジンを販売していた製薬企業はソリブジンの承認を自主的に取り下げました。これにより、ソリブジンは完全に市場から撤退されました。

 

この事件で最も問題な事としては、薬害による死者が出たことだけではありません。有用な薬が一つ減ってしまったことも大きな問題です。ソリブジンは安全情報や併用禁忌などの情報周知を徹底すれば、存続可能な薬でした。

 

 ソリブジン事件の問題点

 

有効率100%の薬は存在しません。そのため、既存薬の効果が乏しければ他の薬への切り替えを検討しなければいけません。また、患者さんによっては副作用が強く出たため、他の薬へ変更しなければいけないケースもあります。

 

このような理由から、治療の選択肢を複数選べることはとても重要です。実際、ソリブジンは既存薬よりも服用がしやすく、十分な効果を期待できる薬でした。

 

以上より、有用な薬が排除されたという意味でもソリブジン事件は大きなインパクトがあります。

 

「適切な使用」や「副作用情報の周知徹底」を図ることで薬害を防ぐだけが重要なのではありません。有用な薬を守るという意味でも、情報共有は大切となります。

 

 ソリブジン薬害事件が発生したメカニズム
フルオロウラシルは酵素によって無毒化・分解されていきます。通常ならばフルオロウラシルの血液中の濃度は徐々に下がっていくのですが、ソリブジンの代謝物はフルオロウラシルを無毒化・分解する酵素を阻害する働きがありました。

 

 ソリブジン薬害事件が発生したメカニズム

 

そのため、フルオロウラシルの無毒化・分解が進みにくくなり、フルオロウラシルの血液中の濃度が急上昇しました。これにより、重篤な血液障害を起こしたのです。

 

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