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アドレナリン物語:日本人が発見した神経伝達物質

 

みなさんは「アドレナリン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。健康番組を頻繁に見ている人や、高校で生物を習っていた人は知っているかもしれません。

 

実はこのアドレナリン、日本人が発見した物質です。今回は、アドレナリンにまつわる物語を述べていきたいと思います。 

 

 アドレナリン

 

 日本人が発見したアドレナリン
アドレナリンは高峰譲吉と上中啓三が発見した物質であり、牛の副腎から世界で初めて結晶化に成功しました。

 

しかし、このようなアドレナリン結晶化の研究は世界中で行われており、アメリカの研究者であるエイベルはヒツジの副腎から単離した化学物質を「エピネフリン」と名付けました。

 

現在では、「アドレナリン=エピネフリン」として扱われており、同じ物質なのに二つの名前があるという状況になっています。

 

高峰が死んだ後にエイベルが「高峰の発見は私の盗作である」と主張しました。高峰はエイベルの研究室を訪問していたのです。そして、アメリカではこの主張が認められ、エイベルがアドレナリンの第一発見者となっています。

 

しかし、現在では上中啓三の実験ノートになどによって「高峰がアドレナリンの発見者である」と世界的に認められています。

 

 エピネフリンからアドレナリンへ
2006年より前、日本ではアドレナリンではなくてエピネフリンという名前が使われていました。日本人が発見した物質なのにアドレナリンという名前を使わないのはおかしな話です。

 

そして、2006年4月から日本薬局方で「エピネフリンではなく、アドレナリンが正式名称である」と改訂されました。

 

日本でもやっときちんとした名前が使われるようになったのです。ちなみに、私はアドレナリンをエピネフリンという正式でない名前で習いました。

 

なお、ヨーロッパでは高峰の功績を認めており、「アドレナリン」の名称が使われています。それに対し、アメリカでは依然として「エピネフリン」という名称が使われています。

 

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