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ジェネリック医薬品使用の自己判断と基準

 

現在、ジェネリック医薬品の使用が推進されています。 2006年では16.9%しかなかった普及率が、2013年9月時点では46.9%と増加していることから、多くの人がジェネリック医薬品を使用するようになりました。。

 

これだけ、政府がジェネリック医薬品の使用推進をしていると、ジェネリックのことを知らない人はいないと思います。

 

たしかに、ジェネリック医薬品は、医療費の削減に大きく貢献するものです。しかし、ジェネリック医薬品は先発医薬品とまったく同じものではありません。そこで、より詳しくジェネリック医薬品と先発医薬品の具体的な違いを説明したいと思います。

 

 薬剤費の差額
たとえば、潰瘍性大腸炎に使用される先発医薬品としてアサコール錠(一般名:メサラジン)があります。この薬は 2015年6月にジェネリック医薬品が薬価収載されました。

 

この薬について、患者さんの医療費負担を比較すると次のようになります。

 

処方例:1日3回、1回2錠の用法・用量で28日間処方
保険適応:3割負担の患者さん
支払金額:
先発医薬品 4,466 円(総薬剤費14,885円)
ジェネリック医薬品 2,439 円(総薬剤費 8,131円)
差額 2,027 円(総薬剤費 6,754円)

 

この薬は、多くの人が寛解と再燃を繰り返すことから、薬をずっと服用する人が多いです。つまり、たとえ症状が落ち着いていたとしても、薬を飲み続けます。

 

そのため、ジェネリック医薬品に変更した際の患者さんが窓口で支払う1年間の薬剤費は、「2万6,411円(総薬剤費差額 8万8,038円)」も安くなることになります(アサコールのジェネリック医薬品が発売された時点での薬価より算出)。

 

もちろん、(独)医薬品医療機器総合機構がジェネリック医薬品を審査しているので、品質、有効性、安全性は先発医薬品と同等であるとされています。そのため、安価で「同じもの」ならば、どう考えてもジェネリック医薬品に変更したくなります。

 

 特殊な薬剤のジェネリック
ただ、このアサコールは大腸にできた潰瘍病変周辺で、直接的に抗炎症作用を発現する必要がある薬です。
そのため、以下の大きな特徴があります。

 

・胃や十二指腸で溶けない。
・回腸末端から大腸全域において薬効成分が放出される。

 

多くの薬が胃で溶けて、そのまま小腸で吸収された後、血液の流れに乗って全身的に薬が分布して、効果を示します。

 

しかし、このアサコールはそれらの薬剤とは異なり、服用後、「どのように消化管内で移動し、どのように錠剤が崩壊して薬剤が放出されるか」がとても重要となります。

 

ジェネリック医薬品は、審査のための一定の資料を提出することで許可されますが、先発品との比較試験としては主に以下の二つしかありません。

 

・酸性度(pH)の異なるいくつか溶液に浸して、撹拌しながら、試験管内での薬剤の溶出を確認する試験
・健康な人が先発医薬品とジェネリック医薬品を異なる日に服用して、それぞれの血中薬物濃度を確認する試験

 

ただ、消化管内(特に大腸近辺)は十分な水分もなく、また潰瘍性大腸炎の患者さんは下痢や出血を生じている場合もあります。そのため、アサコールのような特殊な錠剤は、試験管内の条件と実際の患者さんで薬剤放出の挙動は異なる可能性もあります。

 

また、前述のように、消化管から吸収されて効果を発現する薬剤ではないので、血中薬物濃度が「臨床現場で使用するときに有効な指標」とはなりません。

 

このような特殊な薬剤であることから、実際に多くの患者さんで何度も臨床試験をして、有効性と安全性を確認している先発医薬品とは異なり、やはりジェネリック医薬品は有効性の根拠に大きな弱点を抱えているといえます。

 

ただ、アサコールのジェネリック医薬品は、患者さんでの試験はできないけれど、「ブタ」を使った薬理試験を行うことで先発医薬品との有効性についても差がないことを示しています。もちろん、人での患者さんとブタでは違うわけですが、企業努力を示していると考えられます。

 

今後、ジェネリック医薬品の使用はさらに促進され、医療経済的に大きな貢献があるのは間違いありません。

 

ただ、ジェネリック医薬品に変更してみたけど、どうも調子が悪いという場合がないわけではないようです。その際には、先発医薬品に戻すということが必要かもしれません。ジェネリック医薬品の使用については、あくまでも自己判断が必要だといえます。

 

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