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出血性胃潰瘍での入院・治療から退院までの流れ

 

胃の痛みを感じて医療機関を受診する人は多いです。患者さん本人は胃が痛いと思っているわけですが、実際にはその痛みが胃からきているのかどうかはわかりません。

 

胃の辺りの痛みは胃だけでなく、十二指腸や食道、膵臓、心臓、胸、お腹の部分にある太い動脈などからも生じるからです。

 

ただ、強いストレスを感じている、大量にお酒を飲んでいる、あるいは女性の方で月経痛があり痛み止めをよく使っている、もしくは女性でなくても慢性腰痛などで日常的に痛み止めを飲んでいるなどの要素があれば、胃からの痛みの可能性が高くなります。胃炎や胃潰瘍はストレス、お酒、痛み止めなどがあるとできやすいからです。

 

そこで、ここでは出血性の胃潰瘍を生じる理由や入院するまでの流れについて解説していきます。

 

 出血性胃潰瘍の治療の流れ
胃潰瘍がひどく、そこから血がでているとすると便が黒くなります。出血が続き貧血が進むと、息切れや動悸などの症状がでます。一方、便の色がいつもと変わりなく、動悸、息切れもなければ胃潰瘍からの出血を強くは疑いません。

 

胃炎や軽い胃潰瘍が疑われる程度であれば、胃薬の処方のみで外来で様子をみることとなります。状況に応じて後日に内視鏡検査やピロリ菌の検査が必要になるかもしれません。

 

では、胃潰瘍で入院することになるのはどのような場合かというと、上記のように「黒い便がでている」「貧血を伴っている」など、胃潰瘍からの出血を疑う場合です。出血性胃潰瘍が疑われた場合には緊急入院が勧められます。

 

出血性胃潰瘍が疑われる状況では、出血による血圧低下がおこると命の危険があるため、すぐに点滴をつなぎます。

 

その時点で実際には血圧が下がっていない場合でも、血圧が下がる可能性を考えていつでも点滴をたくさんできるようにします。また点滴からさまざまな薬を直接血管の中に投与できるように、準備のための点滴をつなぎます。

 

このように、いつでも点滴から静脈に薬を投与できるように点滴の準備をすることを静脈路確保といい、またこの時に同時に採血もすませることが多いです。

 

即効性があるかどうかは分かりませんが、静脈路が確保できたらそこから胃薬を投与します。そして血圧が安定していれば、速やかに胃カメラの検査を行います。

 

血圧が安定していなければ輸血を行います。または、細胞外液という血管の中に水分が残りやすい性質の点滴を行い、血圧を安定させてから胃カメラの検査を行います。内視鏡の検査は血圧、脈拍、経皮的動脈血酸素飽和度など、いわゆる「バイタルサイン」とよばれるものが安定していないと行ってはいけないことになっているからです。

 

胃カメラの検査で実際に潰瘍からの出血があれば、出血を止める処置を行います。胃カメラの管の先端には穴が開いており、そこから処置具を出していろいろと操作することができます。

 

処置具を使い出血している個所を熱で焼いて固めたり、血がでている場所に薬を注射して出血を止めたり、クリップで出血源を挟み込んで止血したりします。

 

 食事から退院まで
止血処置で上手く出血が止まったとしてもすぐに食事を始めるのは危険なので、その日は絶食して、点滴で水分補給を行います。

 

翌日にもう一度胃カメラの検査を行い、しっかりと止血されていることを確認します。この2回目の検査でも出血がとまっていれば、状態にもよりますが通常は流動食という「水のような食事」を食べることが許されます。

 

流動食を食べてもお腹の痛みが悪くなることがなく、再度出血したと思われるような症状がなければ、徐々に食事を通常の食事に変更していきます。流動食から3分粥、5分粥、全粥、通常食へと食事の形態が変わっていきます。

 

変更は2食毎、あるいは1日毎に行うのが一般的です。状態がよくてかつ早期に退院しなければならない理由がある場合、早めに食事を変更していくかもしれませんし、逆にお腹の痛みが強いなど症状が不安定なときは慎重にゆっくりと食事を変更していきます。

 

絶食の時や「流動食~3分粥」のときは点滴を1日におおよそ1500mlから2000ml程度行い、水分補給をします。また、点滴を通して胃薬の投与をします。 このとき、もし貧血があれば貧血改善目的の鉄剤の投与を行います。

 

「3分粥~5分粥」以上の食事をしっかりと食べることができて問題なければ、水分補給の点滴は不要ですので点滴は中止となります。それに伴って点滴の胃薬や鉄剤は飲み薬の胃薬や鉄剤に変更します。

 

通常食を食べても腹痛や再度の出血がなく、飲み薬のみで状態が安定していれば退院となります。状態によりますが、上記の過程で入院期間はおおよそ10日前後となることが多いです。

 

 退院後からの治療工程
退院後は定期的に外来に通院して胃薬の内服を続けることになりますが、3~6か月以内に再度胃カメラの検査を行い、胃潰瘍が治癒したことを確認する必要があります。

 

症状が改善し、腹痛などがまったくなくても胃カメラの検査はかかせません。胃潰瘍が治ったところに胃がんがみつかることが稀ですがあるからです。

 

胃カメラの検査のときには、必要に応じて胃の組織を採取しそれを顕微鏡で確認してがんかどうかを調べるような検査も行います。

 

入院中でも外来ででもよいのですが、ピロリ菌の検査も行います。繰り返す胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因としてピロリ菌感染は重要です。もしピロリ菌感染がある場合には除菌を行うことで胃潰瘍の再発を予防できます。

 

胃潰瘍がよくなり胃潰瘍の陰に隠れたがんもなく、ピロリ菌感染もない(もしくは除菌が成功)のであれば、そこで治療が終了となります。以上が出血性胃潰瘍での入院から退院までの一般的な流れです。

 

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