役に立つ薬の情報~専門薬学 | 薬・薬学・専門薬学・薬理学など

役に立つ薬の情報~専門薬学

関節リウマチと治療薬:抗リウマチ薬、生物学的製剤

 

関節リウマチでは、滑膜に炎症が起こって関節が破壊されます。症状が進行すると関節が曲がってしまい、日々の生活が困難になります。また、激しい痛みを伴う病気でもあります。

 

これら関節リウマチは自己免疫疾患とも呼ばれます。通常、免疫は自分自身に対して攻撃しません。病原微生物などの異物が侵入してきたときだけ反応します。ただ、免疫が自分自身を異物と認識してしまい、自己へ攻撃を開始してしまうことがあります。これが自己免疫疾患です。

 

関節リウマチ患者の滑膜では、免疫細胞の一つであるリンパ球がたくさん集まっています。これらのリンパ球は炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)を放出することで、激しい炎症を引き起こします。

 

そこで、関節リウマチを治療するためには、「リンパ球の働きを抑える」または「炎症性サイトカインの働きを抑制する」のどちらかを行えば良いことが分かります。また、必要に応じて鎮痛剤や炎症を抑える薬を併用していきます。

 

 

 

 関節リウマチに使われる薬
関節リウマチに用いられる薬には、いくつか種類があります。以下に代表的な治療薬を記します。

 

 NSAIDs
 ステロイド
 抗リウマチ薬
 生物学的製剤

 

 ・NSAIDs
NSAIDsはいわゆる解熱鎮痛剤のことです。風邪を引いたときに熱を下げるときにNSAIDsが処方され、頭痛などの痛みを抑えるときにも使用されます。一般的に広く用いられている痛み止めの薬がNSAIDsです。

 

関節リウマチでは痛みを伴います。そのため、このときの痛みを取り除く目的で使用されます。ただ、前述の通り、NSAIDsは痛みを取り除くことはできるものの、病気の進行を止めることはできません。あくまでも、補助の目的で使用する必要があります。

 

 ・ステロイド
強力に炎症を取り除く薬としてステロイドが知られています。関節リウマチは滑膜に炎症を生じることで病気を発症しているため、この炎症をステロイドによって取り除くのです。

 

ステロイドを使用すれば、痛みや炎症を抑制できます。ただ、副作用が強いためにメインで使用するのは難しいです。また、関節破壊までを抑えることはできません。

 

 ・抗リウマチ薬
短期的な治療であれば、痛みを止めるためにNSAIDsやステロイドが有効です。ただ、長期的な治療では抗リウマチ薬を使用します。抗リウマチ薬では、「炎症と関節破壊を止めることができる」という特徴があります。そのため、関節リウマチの治療では欠かせない薬であるといえます。抗リウマチ薬としては、メトトレキサート(商品名:リウマトレックス)が有名です。

 

ただ、これら抗リウマチ薬にはいくつか問題点があります。例えば、以下のようなものがあります。

 

 ・効果が出るまでの期間が遅い:8~12週かかる
 ・薬が効く人と効かない人がいる
 ・薬を使用して、2~3年後に効果が落ちることがある

 

抗リウマチ薬では、飲み始めて効果を実感するまでに最低3ヶ月かかります。しかも、必ずしも効果があるとは限りません。3ヶ月続けて投与しても効果がなければ、他の薬への切り替えを検討します。抗リウマチ薬の効果がある人を「レスポンダー」、効果のない人を「ノンレスポンダー」といいます。

 

さらに、抗リウマチ薬を投与して2~3年後に効果が落ちることもあります。これを、エスケープ現象といいます。抗リウマチ薬に痛みを止める作用はないため、効果が表れるまで辛抱強く待つことが要求されます。

 

ただ、効果のある人にとっては優れた医薬品です。そのため関節リウマチでは、早期からの抗リウマチ薬の投与が推奨されています。

 

 ・生物学的製剤
関節リウマチに対して劇的な改善効果を示す薬が生物学的製剤です。この薬の開発がリウマチの治療を大幅に進展させ、病気の寛解導入を目指すことができるようになりました。

 

生物学的製剤を用いた治療では、以下の3つの目標を達成するために薬が使用されます。

 

 ・臨床的寛解:腫れ、痛み、発熱などの臨床症状を抑える
 ・構造的寛解:関節破壊の予防、阻止、そして関節の修復
 ・機能的寛解:日常生活の改善・維持

 

関節リウマチでは、関節滑膜で炎症が起こっています。このときは、免疫細胞から炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)がたくさん放出されています。そこで、免疫細胞や炎症性サイトカインの働きを抑えてしまえば、関節リウマチの症状を抑えることができます。

 

炎症性サイトカインには、専門用語でTNF-αやIL-6と呼ばれる物質が存在します。また、炎症を引き起こす免疫細胞にはTリンパ球などが知られています。これらの働きを抑制するのです。

 

 TNF-αの作用を抑える薬:
インフリキシマブ(商品名:レミケード)
アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)
エタネルセプト(商品名:エンブレル)
ゴリムマブ(商品名:シンポニー)

 

 IL-6の作用を抑える薬:
トシリズマブ(商品名:アクテムラ)

 

 Tリンパ球の作用を抑える薬:
アバタセプト(商品名:オレンシア)

 

いずれの生物学的製剤も、抗リウマチ薬の中で最も効果が高いとされているメトトレキサートに比べて、その効果は飛躍的に高いです。どの生物学的製剤も関節破壊を抑制し、病気の症状を劇的に改善させる作用を有しています。

 

スポンサードリンク




スポンサードリンク