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役に立つ薬の情報~専門薬学

生体膜と脂質二重膜:薬物の吸収

 

口から服用した薬は腸から吸収される必要がある。なぜなら、腸から吸収されなければそのまま糞便と一緒に排泄され、薬として作用を表すことがないからである。ただし、この吸収を理解するためには「生体膜」について学ぶ必要がある。

 

これは、薬が私たちの腸から吸収されるためには腸の膜を通過する必要があるからである。

 

 脂質二重膜
この膜を正確な言葉で表すと「脂質二重膜」と呼び。別に難しいことは何もなく、その言葉の通り「脂質が二重になって構成されている膜」を表す。

 

 脂質二十膜

 

私たちの細胞の周りを取り囲んでいる細胞膜は、この脂質二重膜で構成されている。つまり、腸の膜を構成している細胞だけでなく、皮膚の細胞などを含めて脂質の膜で細胞が構成されているのである。

 

そして、油と水は交じり合わないことは既知の通りである。油への溶けやすさを「脂溶性(疎水性)」と表現するが、脂溶性の物質は水には溶けない。その逆に水への溶けやすさを「水溶性」という言葉で表すが、水溶性の物質は油に溶けにくい。

 

 脂溶性(疎水性)と水溶性

 

細胞の周りを取り囲んでいる膜は前述の通り脂質二重膜である。この時、脂質に馴染みやすいのは当然ながら脂溶性の物質になる。脂質の膜である以上、水溶性の物質は通過することが難しい。

 

同じように考えると、腸の膜を通過して薬が体内へと吸収されるためには「薬の脂溶性が高いほど良い」と考えることができる。脂溶性の物質は油と馴染みやすいため、脂溶性が高い薬物であるほど脂質二重膜を通過しやすくなる。

 

 脂溶性薬物の矛盾
それでは、薬の脂溶性を上げれば良いのかと言うとそうではない。脂溶性が高くなりすぎると、今度は薬物の吸収が悪くなってしまう。

 

私たちの体のほとんどは水で成り立っている。飲み物として水分を頻繁に摂取することから、私たちの腸内は水分で満たされていることを想像できる。この時に重要となるのは、「腸から吸収されるためには水に溶けなければいけない」という事実がある。

 

考えてみれば当たり前であるが、固体の状態であるとその物質は膜を通過することができない。そうではなく、水の中に溶けている状態になることでようやく腸の膜を通過できるようになる。

 

小学校の理科で「ろ紙を通すことで液体中に溶けている物質と固体とを分ける」という実験を行ったと思う。これと同じ原理で、前述の通りそもそも水に溶けていなければ腸の膜から吸収されることなく便として排泄される。

 

そのため、腸から薬が吸収されるためには「ある程度の水に溶ける性質」を残しておく必要がある。脂溶性を上げれば上げるほど膜を通過しやすくなるが、その逆に水に溶けにくくなってしまう。その結果、腸から薬が吸収されにくくなる。

 

 薬物の脂溶性と水溶性の関係

 

このように、脂溶性を上げるほど水に溶けなくなり、脂質二重膜を通過できなくなる。その逆に、水溶性を上げすぎると油に馴染みにくくなるため、やはり脂質の膜を通過できなくなる。

 

つまり、医薬品は脂溶性が高すぎると水に溶けないために薬にならないし、水溶性が高すぎても膜を通過できないために薬として吸収されない。これらの事実から、薬はほど良い脂溶性が重要であると理解できる。

 

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