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   薬物の吸収部位

 さまざまな吸収部位
・腸からの吸収

多くの薬物は腸から吸収される。腸から薬物が吸収される場合、門脈を通って肝臓を通過する。そのため、初回通過効果を受ける。

・胃からの吸収
胃は持続時間が長く、血管系に富んでいるが、薬物の吸収に適していない。

・口腔からの吸収
初回通過効果を受けない。吸収に適しており、ニトログリセリンの舌下錠などに利用されている。

・直腸からの吸収
直腸からの吸収は初回通過効果を受けない。また、小腸ほどではないがある程度の薬物吸収が期待できる。

・鼻腔からの吸収
鼻腔は初回通過効果を受けない。また、イオン形でも吸収されやすく、イオン形に対するバリアー能が低い。比較的高分子な薬物でも吸収する。

鼻から吸収されるとき、分子量6000程度の薬物はさすがに吸収されにくい。そのため、界面活性剤などで改善する。下に鼻からのインスリン吸収を示す。

   インスリン吸収

図を見てわかるとおり、界面活性剤によって吸収が改善されたことが分かる。界面活性剤であるNa glycocholate、POE 9 lauryl、saponinは同程度の吸収促進効果である。

しかし、界面活性作用は「POE 9 lauryl、saponin >> Na glycocholate」となる。つまり、Na glycocholateの界面活性作用は他の二つに比べて低い。それにも関らず、同程度の吸収促進効果を有しているのである。

これは、Na glycocholateがロイシンアミノペプチダーゼを阻害する作用があるためである。ロイシンアミノペプチダーゼはインスリン分解に関わっている。

・肺からの吸収
吸収がきわめて速く、初回通過効果はない。ただし、PGや5-HTなどは主に肺で代謝されるため、初回通過効果を受ける。なお、正確な量の吸入が困難である。

・皮膚からの吸収
皮膚は角質によってバリアーとなっている。皮膚から薬物が吸収される場合、細胞間隙を通過する必要がある。そのため、薬剤添付後に薬が効くまでラグタイムがある。

ただし、汗腺や皮脂腺などの付属器官による吸収は角質のバリアーをスキップして吸収される。しかし、付属器官の有効面積は0.1%くらいであり、吸収の寄与率は低い。

皮膚からの吸収は水分が保持されることによって薬剤の透過性がよくなる。薬剤を塗布した後にフィルターなどで密封し、透過性を増加させる方法を密封療法という。また、疎水性物質を用いると、水分の蒸発を防ぐことができる。

 薬物吸収の胃による影響
胃内容物排泄速度を表すものにGERがある。空腹であればGERは増加し、食物があればGERは低下する。つまり空腹時の場合、薬物は素早く腸へ移行する。それに対し食事後などの場合、薬物はなかなか腸へ移行しない。

下にジクロキサシリン服用後の血清濃度を「朝食一時間前に服用した場合」と「朝食後に服用した場合」で示す。

   

図のように、朝食を取った方がジクロキサシリン服用後のAUCと利用速度が減少する。なお、AUCとは総薬物量のことである。

また、利用速度だけでなく朝食を取った方が利用効率も減少している。これは、胃酸などによって薬物が分解されたためと考えられる。

ただし、全ての薬物が食物によって利用効率が減少するわけではない。例外として、下にリボフラビンの朝食後服用と絶食後服用における尿中排泄量を示す。※尿中に排泄されるということは、それだけ薬物が吸収されたということである。

   リボフラビンの吸収

リボフラビンは十二指腸で吸収される。絶食後服用ではGERが速く、薬物は速やかに移行される。そのため、薬物吸収に飽和現象が見られ、わずかしか吸収されない。

それに対し、朝食後服用ではGERが低く、薬物はゆっくりと移行される。そのため、リボフラビンは効率よく吸収されるのである。