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役に立つ薬の情報~専門薬学

薬物の分布、代謝、排泄

 

 薬物の分布
薬物は血中で赤血球やタンパクと相互作用して結合している状態のものと、タンパクと結合していない遊離型が存在する。そして、これらのうちタンパクと結合していない遊離型の薬物だけが組織へ移行することができる。

 

つまり、遊離型だけが血管壁を通り抜けることができるのである。

 

 薬物の移行

 

タンパク結合率は薬物によって異なっており、タンパクとの結合率が高い薬物ほど「薬物濃度-遊離薬物濃度」に非線形性が見られる。

 

 薬物濃度-遊離薬物濃度

 

タンパクとの親和性が高いほど、薬物投与量によって遊離薬物濃度に大きな変化が見られる。これは、薬物がタンパク結合と飽和するために起こる。

 

そのため、ただ単に「投与量を2倍にすると、薬効も2倍になる」とは限らないので、注意する必要がある。

 

 薬物の代謝
薬物は主にシトクロムP450(CYP450)によって代謝される。

 

このとき、投与する薬物によってはCYP450の阻害や誘導が起こることがある。つまり、併用投与された薬物の代謝が阻害されたり促進されたりするのである。

 

例えば、リファマイシンは抗生物質であり、CYP3A4を誘導する。CYP3A4はシクロスポリンの代謝に関わっており、リファマイシン投与によってシクロスポリンの代謝が促進される。

 

下にリファンピシン投与によるシクロスポリン血中濃度の変化を示す。

 

 リファンピシン投与によるシクロスポリン血中濃度の変化

 

・初回通過効果
代謝にはさまざまな種類が存在する。下にサリチルアミド服用後における血漿中濃度変化を示す。

 

 サリチルアミド服用後における血漿中濃度変化

 

薬物は小腸粘膜においても代謝が起こっており、これによって初回通過効果を受ける。サリチルアミドの場合、グルクロン酸抱合を受ける。

 

図のとおり、サリチルアミド1gの投与ではほとんど代謝される。しかし、この代謝は飽和過程であり、2gの投与では飽和状態となる。これによって、グルクロン酸抱合を免れたサリチルアミドが増加したため、AUCが急激に増加したと考えられる。

 

 薬物の排泄
薬物の排泄は主に腎臓で行われる。腎臓の排泄能の指標として腎クリアランス(CLr)がある。腎クリアランスとは、「単位時間当たりに腎排泄によって薬物除去される、血漿の体積」である。

 

 CLr = Cu × Vu / Cp

 

 Cu:尿中薬物濃度
 Vu:尿の排泄速度
 Cp:血漿中の薬物濃度

 

腎臓によるろ過は糸球体によって行われる。この糸球体におけるろ過速度にはGFR (糸球体ろ過速度)が使われる。GFRとは「単位時間当たりに、糸球体によってろ過される血漿の体積」である。なお、タンパクは糸球体でろ過されない。

 

なお、ヒトのGFRは「GFR = 120mL/min」である。腎機能が低下していない限り、この値はほぼ一定である。

 

腎臓における分泌、再吸収の様子は薬物によって異なっている。下に「イヌリン、グルコース、スルファニルアミド、PAH、スルファメチゾール」の薬物移行を示す。

 

 腎臓における分泌、再吸収の様子

 

また、下に腎クリアランスと血漿中薬物濃度の関係を示す。

 

 腎クリアランス-血漿中薬物濃度

 

・イヌリン
イヌリンは糸球体ろ過を受けるだけであり、近位尿細管や遠位尿細管からの分泌や再吸収を受けない。そのため、イヌリンの腎クリアランスがGFR (糸球体ろ過速度)となる。

 

・グルコース
グルコースは糸球体ろ過を受けるが、近位尿細管で能動的な輸送によって再吸収される。ある一定濃度までは特殊輸送担体によって、グルコースは全て吸収される。しかし、ある値を超えると飽和状態となり、グルコースの腎クリアランスが上昇し始める。グルコースは分泌されないため、GFR値を超えることはない。

 

・スルファニルアミド
スルファニルアミドは糸球体と遠位尿細管で受動拡散による再吸収を受ける。輸送担体を介さないので、吸収率は血漿中濃度に依存せず、飽和状態もおこさない。そのため、血漿中の薬物濃度が高くなったとしても腎クリアランスは変化しない。

 

・PAH(P-aminohippuric acid)
PAHは糸球体ろ過と近位尿細管での分泌を受ける。この分泌は特殊輸送担体によるものであり、血漿中の薬物濃度上昇によって飽和現象が起こる。そのため、濃度上昇に伴って分泌が低下し、腎クリアランスが減少してくる。

 

・スルファメチゾール
スルファメチゾールは糸球体ろ過と近位尿細管での分泌、遠位尿細管での再吸収を受ける。分泌は特殊輸送担体を介するものであり、再吸収は受動拡散によって行われる。

 

血漿中の薬物濃度上昇によって飽和現象が起こるため、腎クリアランスが減少する。ただし、再吸収は受動拡散によるものなので血漿濃度変化による腎クリアランスに対しては影響しない。

 

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