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役に立つ薬の情報~専門薬学

バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)と初回通過効果

 

薬物動態での吸収を考える上で、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)が重要となる。バイオアベイラビリティと言うと何だか難しそうに聞こえるが、要は「服用した薬のうち、どれだけ体の中に入って利用されたか」を表す。

 

例えば、バイオアベイラビリティが80%である医薬品の場合、100mg服用するとその80%である80mg分の薬が血液を介して全身を巡るようになる。このように、「服用した薬の内でどれくらいの薬物が全身血流にのって利用されるか」を表す言葉がバイオアベイラビリティである。

 

なお、薬によってはバイオアベイラビリティが10%に満たない薬も存在する。このような薬であると、元々の投与量を多くしなければいけない。また、バイオアベイラビリティが低い薬は個体差も大きくなってしまう。

 

例えば、標準的なバイオアベイラビリティが80%の薬があるとする。この場合、人によってこのバイオアベイラビリティが70%になったとしてもそこまで変わりがない。しかし、元々のバイオアベイラビリティが10%と低い薬の場合、ヒトによってこの値がたった5%低くなるだけで実際に利用される薬は半分になる。

 

ヒトによっては薬の吸収などに個体差がある。そのため、今度はバイオアベイラビリティが5%だけ高くなって15%に変化するだけでも、元々の10%に比べると1.5倍も薬の濃度が高くなってしまうことになる。

 

 バイオアベイラビリティによる効果の違い

 

薬によってバイオアベイラビリティの値は異なる。そのため、このようにバイオアベイラビリティからも個体差が出やすいかどうかを推測することができる。

 

 初回通過効果とバイオアベイラビリティ
食物として栄養を摂取したとき、この食物に含まれる物質の中には毒物が含まれることもある。そのため、これらの物質がそのまま血液を介して全身を巡るのはとても不都合である。

 

そこで、栄養を含めて腸から吸収された物質はまず初めに肝臓に運ばれる。肝臓には代謝酵素が存在しており、化学物質の代謝・不活性化を行っている。そのため、物質によっては血液によって全身を巡る前に肝臓で代謝を受ける。

 

このように、全身血液に入る前に肝臓で代謝を受ける過程を初回通過効果と呼ぶ。薬は腸で吸収された後に初回通過効果を受けるため、バイオアベイラビリティを考えるためにはこの初回通過効果まで考慮する必要がある。

 

なお、腸から吸収された薬は門脈と呼ばれる血管に入る。この門脈が腸と肝臓を繋ぐ血管である。

 

 初回通過効果

 

この時、バイオアベイラビリティは「腸の膜を透過する薬物の割合」と「初回通過効果を受けない薬物の割合」の二つの要素によって決定されることが分かる。

 

ここで、「腸の膜を透過する薬物の割合」をFaと「初回通過効果を受けない薬物の割合」をFhとする。そうすると、薬物のバイオアベイラビリティは「Fa×Fh」で表すことができる。

 

 門脈と薬物の消化管通過

 

 バイオアベイラビリティ=腸の膜を透過する割合(Fa)×初回通過効果を受けない割合(Fh)

 

例えば、薬を100mg投与する場合を考える。この時、腸の膜を透過する薬物の割合(Fa)が80%であると、門脈に流れる薬は「100mg×0.8」で80mgとなる。

 

さらに、初回通過効果を受けない薬物の割合(Fh)が60%であると、全身を巡る血液に入る薬の量は「80mg×0.6」で48mgとなる。つまり、全体で考えれば「100mg×0.8(Fa)×0.6(Fh)=48mg」となる。 このように、バイオアベイラビリティは小学校の算数でも計算できる。

 

なお、バイオアベイラビリティを学ぶ際に肝抽出率(Eh)という言葉を用いることがある。肝抽出率とは「肝臓で初回通過効果を受ける薬物の割合」を指す。

 

先ほど、初回通過効果を受けない薬物の割合をFhで表した。「初回通過効果を受けない薬物の割合(Fh)」の反対を意味する言葉としては、「初回通過効果を受ける薬物の割合」となる。そして、この「初回通過効果を受ける薬物の割合」が肝抽出率(Eh)のことである。

 

 肝抽出率

 

そのため、肝抽出率(Eh)は「1-Fh」で表すことができる。先ほどの例であると、「初回通過効果を受けない薬物の割合(Fh)が60%」の薬物の場合、肝抽出率(Eh)は「1-0.6」で0.4となる。つまり、肝抽出率(Eh)は40%である。

 

 バイオアベイラビリティ=腸の膜を透過する薬の割合(Fa)×(1-肝抽出率(Eh))

 

 ニトログリセリンの初回通過効果
腸から吸収された薬は初回通過効果を受ける。たとえ腸から薬が吸収されたとしても、初回通過効果によって薬のほとんどが代謝されると意味がなくなってしまう。そこで、この初回通過効果を回避する方法の一つとして「投与経路を変える」という手段がある。

 

投与経路によっては初回通過効果を受けない場合もある。「直腸から薬を投与する坐剤」や「舌の下から薬を吸収させる舌下錠」などがこれに該当する。

 

例えば、狭心症の治療薬としてニトログリセリンがある。この薬は初回通過効果によって、そのほとんどが代謝されてしまう。そのため、飲み薬として使用したのでは薬の効果を得ることができない。

 

そこで、この薬は舌下錠として口腔粘膜から吸収させる。これによって、初回通過効果を回避することで薬としての効果を発揮するようになる。

 

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