生体分子と構造の似ている薬の作用
薬は生体の機能を増強または減少させることによって働きます。
それでは、生体機能を増強する薬がどのような構造をもっているのでしょうか。一番簡単なのは「もともとの生体分子(神経伝達物質などの化学メッセンジャーやホルモン)と似た構造を有する」と考えると良いでしょう。
エストラジオールとDES
サリドマイドをはじめ、今までに多くの薬害が発生しました。その中の一つに「DES」による薬害があります。
DESは女性ホルモンとしての作用があり、この薬を妊婦が飲むことにより、生まれてくる子供に異常が発生しました。
女性ホルモンは私たちの体で活躍する生体物質であり、この女性ホルモンの一つとしてエストラジオールがあります。以下にエストラジオールとDESの構造を示します。
まだ、この二つの構造を見て何も思わないかもしれませんが、二つを重ね合わせて見れば一目瞭然です。
下に二つの構造を重ね合わせた様子を示します。
このように、二つはとてもよく似た構造をしていることが分かると思います。これならDESが女性ホルモンとしての作用をもつ理由を理解してもらえると思います。
このように、生体機能を増強する薬には「もともとの生体分子と似た構造を有する物質」があるのです。
ただし、生体の作用を強めることによって作用する薬(アゴニスト)の全てが、このように生体分子と似た構造をもっているとは限りません。
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