薬による受容体への結合
重要な結合と重要でない結合
タンパク質は簡単にいえばアミノ酸が集まったようなものです。そして、これらのアミノ酸のうち水素結合、ファンデルワールス力によって相互作用するアミノ酸は多いです。
それに対し、共有結合やイオン結合の結合力は強いかもしれませんが、共有結合、イオン結合によって相互作用するアミノ酸は少ないのです。
共有結合によって薬と受容体が相互作用する場合、多くはジスルフィド結合(S-S結合)によるものです。そして、この結合を行うことのできるアミノ酸はシステイン一種類だけです。
イオン結合にしてみても、イオン結合を介して薬と相互作用できるアミノ酸の種類は四つだけです。(Asp,Glu,Lys,Arg)
それに対し、ファンデルワールス力によって相互作用できるアミノ酸は八つ存在します。(Gly,Ala,Val,Leu,Ile,Phe,Pro,Met)
また、水素結合を介して相互作用することができるアミノ酸も八つ存在します。(Ser,Thr,Cys,Asn,Gln,His,Tyr,Trp)
薬による結合の様子
薬が受容体に結合するとき、ある部分では水素結合が働いており、他方ではファンデルワールス力が働いているなど、さまざまな相互作用によって結合します。
三点受容体説
「薬と受容体との結合には少なくとも3点以上の結合基がないといけない」と考えるのが三点受容体説です。2点だけであると、結合が弱すぎるのです。
「3点以上で結合しないといけない」ということを考慮すれば、なぜ光学異性体で「片方だけ効果が表れ、もう片方は効果が表れない」という現象が起こるのかを簡単に理解することができます。
上の左図では、二つの光学異性体による受容体への結合の様子を描いています。
このとき、左側の場合では3点の結合基がぴったり合うため、結合することができます。しかし、右側の場合では3点で結合することができません。そのため光学異性体をもつ場合、片方は効果を表わさないのです。
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