釣藤散の効能:頭痛・頭重、高血圧、めまい
中年以降の年齢であると、高血圧傾向であったり頭痛があったりとさまざまな疾患に悩まされます。そこで、高血圧に伴う慢性的な頭痛や頭重感などに用いられる漢方薬として釣藤散(ちょうとうさん)が知られています。
釣藤散には、脳の血管を広げることで脳循環を改善させる作用があります。これにより、頭痛や高血圧による諸症状を改善させます。
釣藤散(ちょうとうさん)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。釣藤散であれば、次のような人が有効です。
・体力が中等度
・年齢が中年以降
・高血圧傾向である
・慢性的な頭痛、めまい、肩こりなどがある
脳梗塞など、脳血管障害を有したことのある方は釣藤散が適応されます。脳血管障害は高血圧による動脈硬化が主な原因です。
なお、釣藤散を頭痛に用いるとはいっても、片頭痛のような激しい頭痛に対しては使用されません。それよりも、頭重感に効果を示します。老人が朝起きたときに頭が痛く、歩いていると忘れるような頭痛によく効くのが釣藤散です。
脳血管が関わる疾患では、頭痛でなくてものぼせや肩こり、精神不安などにも釣藤散は効果を示します。なお、漢方の古典である「本事方(ほんじほう)」に釣藤散が記載されています。
釣藤散の作用
中年以降の血管障害を有する人に用いられる釣藤散には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の11種類が配合されています。
・釣藤鈎(ちょうとうこう)
・石膏(せっこう)
・陳皮(ちんぴ)
・麦門冬(ばくもんどう)
・半夏(はんげ)
・茯苓(ぶくりょう)
・菊花(きくか)
・人参(にんじん)
・防風(ぼうふう)
・甘草(かんぞう)
・生姜(しょうきょう)
釣藤散の主薬(主な構成成分)である釣藤鈎には、脳血管を広げて循環を良くする働きがあります。他にも、石膏は炎症を鎮める作用があり、茯苓や半夏にはよけいな水を取り除くことでめまいなどを緩和する効果があります。このような作用を示す成分を配合させるのです。
釣藤散に含まれる生薬の働きによって起床後の頭痛やめまいなどを取り除きます。また、正午にかけての肩こりや気分が優れない状態にも有効です。なお、釣藤散は体に冷えのない人で用いられます。
釣藤散の使用方法
釣藤散を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。
これら釣藤散としては、
・高血圧、脳血管障害
・頭痛、頭重
・めまい、耳鳴り
・のぼせ
・抑うつ、不眠
などの症状に有効です。基本的には、高血圧などによって起こるさまざまな症状に対して釣藤散が有効であると考えることができます。
このような特徴により、脳血管障害によって生じる頭痛・頭重、めまい、耳鳴り、精神症状(抑うつ、不眠)などに対して改善効果を示す漢方薬が釣藤散です。
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