ヌクレオチド代謝
ヌクレオチド類は自分自身で生合成し、食品から摂取されるものはほとんど排泄される。
生合成のための2経路
ヌクレオチドの生合成には2つの主な経路がある。
1. 新生合成 デノボ合成 2. 再利用 サルベージ経路
プリンヌクレオチドの合成
1.デノボ経路
α-D-リボース-5-リン酸
↓
PRPP(5-ホスホリボシル-1-ピロリン酸)
↓ 糖の一位にN-グリコシド結合をつける
↓ グリシンを結合
↓ 炭素を追加
↓ 閉環し5員環を作る
アミノイミダゾール-リボシル-5-リン酸
↓
↓6員環を追加
IMP(イノシン一リン酸)
IMP → アデニロコハク酸 → AMP
IMP → キサントシンリン酸 → GAP
デノボ合成とは新生合成経路でα-D-リボース-5-リン酸から中間生成物のPRPPが合成される。さらに数段階の合成の後にIMPが合成される。IMPからは別の経路でAMPまたはGMPが合成される。
2.サルベージ経路
不要なったDNA、RNA(分解) → ヌクレオチド(再利用) → 塩基(再利用) → 尿酸 → 排泄
サルベージ経路は再利用経路である。不要なったDNA、RNAが分解するときに生成するヌクレオチドや塩基をサルベージ経路が取り込み、再利用することでヌクレオチドを合成する。
プリンヌクレオチドの生合成調節
これは、「速度反応論」で説明したのと同じように最終生成物であるAMPとGMPがフィードバック抑制している。
チミジル酸シンターゼ阻害剤
チミジル酸シンターゼ阻害剤は抗がん剤として利用される。
がん細胞はDNAの合成がとても盛んであるが、正常細胞の多くはDNA合成が活発でない。そのため、チミンの合成を阻害することで、結果として抗がん剤となる。
抗がん剤で髪の毛が抜ける理由は、髪の合成は体の他の部分と比べてDNAの合成がさかんであるからである。なお、チミンはDNA合成には必要であるが、RNA合成には関係がない。
プリン、ピリミジンヌクレオチドの生分解
GMP AMP シトシン チミン
↓ ↓ ↓ ↓
グアノシン アデノシン β-アミノイソ酪酸(水によく溶ける)
↓ ↓
グアニン イノシン
↓ ↓
キサンチン ← ヒポキサンチン
↓
尿酸 → 尿へ
プリンヌクレオチドであるアデノシンとグアノシンを分解する際、中間体及び反応を得て、両方とも尿酸となり尿へ排出される。尿酸は尿素ほど水溶性が高くないため、血液中の尿酸の濃度が増えると高尿酸血症となる。
すると、尿酸ナトリウムの結晶が軟組織や関節で形成され痛風となる。
DNA
DNAの配列
デオキシアデニル酸 dADP デオキシグアニル酸 dGMP
デオキシシチジル酸 dCMP デオキシチミジル酸 dTMP
DNAはこの4つのデオキシリボヌクレオチド(モノマー)がつながったポリマーである。4つのモノマーの並び方(どの方向へ、どの順番で)によって遺伝情報が決定する。
通常DNA鎖(ポリマー)は、二本のポリマー鎖であり、互いに対合している。このとき、G:CとA:Tで対合している。また、対合しているため修復可能である。
二本のポリマー鎖にはどちらか片方に意味のある遺伝情報がある。遺伝情報がある鎖を鋳型鎖、マイナス鎖、アンチセンス鎖、ノンコード鎖ともいい、対合している側をプラス鎖、センス鎖、コード鎖という。
二重らせん
二本のポリマーであるDNAは、らせんを巻いている。
右巻き 左巻き
A型~E型 Z型 通常はB型、右巻き
DNAの変性
二本鎖DNAは温度が上がる、高塩濃度になると変性し対合が切れ、二本の一本鎖DNAになる。
変性に伴う変化は、
1. 溶液の吸光度が上がる。 2. 溶液の粘度低下
Tm
DNAが変性する温度をTmといい、DNAによってはTmが異なる。理由はDNAの二本鎖中のGCペアは3本の水素結合でつながっており、ATペアは2本の水素結合でつながっているためである。
したがって、GC含量の多いDNAほど、Tmが高い →TmからGC含量を推定できる
DNAの再結合
塩基の並び方がほぼ同じならば他のDNAから取れた一本鎖DNAまたは一本鎖RNAと再結合する。これをハイブリッド形成という。
RNAの対合 G:C A:U
DNA |
RNA |
|
アルカリで分解 されにくい |
- |
アルカリで分解 されやすい |
デオキシリボース |
- | リボース |
チミン |
- | ウラシル |
通常二本鎖 |
- | 通常一本鎖 |
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