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役に立つ薬の情報~専門薬学

薬剤師であるほど研究で身につく論理的思考が重要

 

大学などの研究機関で「本気で研究を行ったことのある人」はどれだけいるでしょうか。研究者を目指す人であれば、当然のように大学院へ行って研究もそれなりに行い、大学教員からも指導を受けます。

 

しかし、普通に生活を行っている人では「研究」をどのように行うか全く分からないと思います。

 

ただ残念な事に、これと同じことが薬剤師にも言えます。薬学生だった時に本当の意味で「基礎的な研究」を本気で行った事のある薬剤師はかなり少数です。

 

 薬剤師国家試験が第一
私立大学の薬学部は「薬剤師国家試験に合格させること」が一番の目標となります。そのため、研究を本気で行わせる私立大学は少数です。「研究とは何か」という、理系学生であれば必須となるであろう「論理的思考」が完全に抜け落ちてしまっています。

 

社会に出た後に向上心を持って働くにしても、添付文書やその他実験データから読み解かなければいけない事はいくらでもあります。しかし、実際には国家試験に受かるためのトレーニングしか受けていないため、「論理的思考」の意味を理解しないまま薬剤師として働くことになります。

 

それでは、私立大学が問題なのかと言うと必ずしもそうではありません。私は国立出身ですが、薬剤師を目指す人は「楽な研究室」を選ぶ傾向にあります。決して、21:00をまわっても全員残っているような「本気で学術研究を行っている研究室」を選ぼうとはしません。

 

適当な時間に研究室に行き、実験を行うわけでもなく単なる談笑をするだけで終わるような研究室は国立大学にもたくさん存在します。そして、何故かそのような研究室が「人気教室」になります。

 

これって、かなりヤバイです。そもそも、「楽」を選んでいる時点でどうかと思います。

 

私は4年間で薬剤師国家資格を取得できる最後の年に卒業し、修士課程まで進学しました。その中でも、4年生の時の卒業試験では他研究室に所属している同級生の発表を聞く機会があります。

 

この時、「一週間もあれば出せるデータ」で勝負している人や「先輩の内容を代々受け継いでそのまま発表」などを行っている人がいた事を覚えています。どの大学も同じような問題を抱えているのではないかと思います。

 

 実際の研究室は楽ではない
それでは、実際に本気で行っている研究室はどうかと言うと、正直に言うとかなりしんどいです。私は創薬化学を専攻していましたが、有機化学による化合物の創出から動物実験、コンピューターシミュレーションなど多くの事を行っていました。

 

行うことが1つではなく、基本的に同時並行なので常に頭がフル回転であり、時間ごとに実験場所が変わっていきます。ある時は有機合成の部屋におり、その2時間後に動物舎で実験するという生活です。

 

そして、必ずしも思い通りにデータが出るわけではありません。他にも英語で論文を書いたり、学会発表を行ったりと実験だけではありません。自分が行った事を外にいる人に向けて発表しなければ意味がないのです。

 

これらを経験した上で社会に出ると、やはり気づくことがたくさんあります。

 

例えば、それまでに学会発表を何十回も行っていたため、医療機関に出向いての研修をスムーズに行うことができます。また、医師から質問を受けても、企業からの実験データから情報を読み取ってアドバイスを行うことができます。

 

しかし、もし私が「楽」な研究室を選んでいれば、これらの基礎的な事を全く学ばずに社会に出たことになります。そのため、かなり苦労をしただろうと思います。

 

実際に社会に出てみなければ気が付きませんが、少なくとも「研究」を知らない薬学生は圧倒的に損をしています。別に薬学生に限らず、全ての理系学生に言えることです。しかし実際には「研究は関係ない」と考えて、多くの人は大学で楽な道を選ぼうとします。

 

もし社会人の方で「大学の研究室生活は意味がなかった」と言う人がいたら、その人は「楽な研究室を選んでいた人」か「応用力ゼロの人」のどちらかです。

 

少なくとも、理系学生(特に薬学生)は大学生活の中で「論理的思考」として、物事の考え方を学んで欲しいと思います。学費だけで払って「大学を卒業しました」という大卒の地位を手に入れるだけの生活に意味があるのかと思ってしまいます。

 

大学で遊ぶことはとても重要です。ただし、それと同じ以上に大学でしか学べない事があると思います。少なくとも、理系学生であれば「論理的思考」を手に入れるチャンスがあるのにもったいないです。

 

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