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高分子医薬品によるジェネリック医薬品の罠

 

ジェネリック医薬品は良い点ばかりではありません。実際にはデメリットも存在しますが、「ジェネリック医薬品の問題点」に関してはほとんど知らされていないのが現状です。

 

そこで、ここでは敢えて「ジェネリック医薬品の問題点」に焦点を当てていきたいと思います。

 

 高分子医薬品の罠
「品質が劣るジェネリック医薬品」として過去にメルクメジンという薬が問題になった事があります。先発医薬品はクレメジンであり、慢性腎不全の治療薬として用いられています。クレメジンの正体は活性炭ですが、かなり大きな分子です。そして、このように大きい物質が有効成分である場合は注意しなければいけません。

 

多くの薬はとても小さい物質です。高校化学では、「あらゆる物質の最小単位は原子である」と習いますが、ほとんどの薬はこの原子が数十個だけ組み合わさった単純な構造をしています。

 

原子がいくつか組み合わさると分子を形成しますが、前述の通り薬は数十個の原子から構成される小さい分子であるため「低分子」とも表現されます。

 

この低分子と反対の意味を持つ単語として「高分子」があります。たくさんの原子が組み合わさって構成されている化合物であり、プラスチックやビニール、ゴムなども高分子です。その中でも、これが医薬品であると高分子医薬品と表現されます。

 

C型肝炎を治療する薬として、まさにこの高分子医薬品を使用することがあります。この高分子医薬品としてグリチルリチン製剤があります。C型肝炎の治療として、肝臓で起こっている炎症を和らげる治療法があります。この時の肝臓での炎症を抑える薬がグリチルリチン製剤です。

 

C型肝炎の治療として用いられるグリチルリチン製剤ですが、先発医薬品として強力ネオミノファーゲンシーという商品名の薬があります。そして、2003年に九州大学医学部附属病院で強力ネオミノファーゲンシーとジェネリック医薬品の効果を比較検討した研究があります。

 

この研究によると、強力ネオミノファーゲンシーからジェネリック医薬品に変更すると、複数のジェネリック医薬品で3ヶ月後のALT値が有意に上昇したのです。

 

肝臓の機能を測定する指標としてALTという値があります。ALTはアミノ酸を作り出す酵素ですが、そのほとんどは肝臓に存在しています。C型肝炎のように肝臓に障害が起こると、酵素であるALTが血液中に漏れ出してALT値が上昇します。そのため、ALTは肝機能の指標として用いられています。

 

これらの結果を受けて、さすがに品質に問題があるとして厚生労働省から指導が入りました。その後、有効成分であるグリチルリチンの含量を先発医薬品である強力ネオミノファーゲンシーと同量にした事によって問題は収束しました。

 

このように、ジェネリック医薬品がゾロ品と呼ばれていた過去には、明らかに品質に問題のあるジェネリック医薬品が実際に出回っていた経緯があります。

 

今回紹介したグリチルリチン製剤は高分子医薬品であり、このような高分子医薬品をジェネリック医薬品に切り替える際には注意が必要であることが分かります。

 

先に挙げた先発医薬品「クレメジン」や今回の先発医薬品「強力ネオミノファーゲンシー」のように、これらの評価の難しい先発医薬品に対するジェネリック医薬品こそ、臨床試験が必要になるのかもしれません。

 

※当然、ジェネリック医薬品でもオリジナルな医薬品と変わらないくらい素晴らしいものはあります。しかし、ジェネリック医薬品には「問題点」があることも忘れないでください。

 

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