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役に立つ薬の情報~専門薬学

漢方薬にはジェネリック医薬品(後発医薬品)が存在しない

 

世の中にはジェネリック医薬品への変更ができない医薬品があります。薬の有効成分そのものである「物質特許」が切れていないとジェネリック医薬品を発売できないため、先発医薬品しか存在しない場合です。

 

このような薬を処方してもらったとき、いくらジェネリック医薬品に変えて欲しいと頼み込んでも変えてもらうことは出来ません。全ての薬がジェネリック医薬品に変更できる訳ではないのです。

 

そして、ジェネリック医薬品が存在しない薬として漢方薬があります。

 

 漢方薬の特徴
漢方薬はある意味、西洋薬とは反対の考え方をします。

 

例えば、西洋薬は数値や検査結果を重視します。例えば、高血圧の治療を考える場合であると、血圧を測定する必要があります。血圧の測定結果を元にして、ある一定の検査値よりも値が高ければ高血圧と判断されます。

 

他にも糖尿病では血糖値の検査を行い、脂質異常症ではコレステロール値の検査を行います。これらの検査結果を見比べて、「ある基準値よりも測定した値が高いか低いか」を判断することで治療方針を決定します。これが、「西洋薬で検査結果・数値を重視する」という意味になります。

 

それに対して、漢方薬では基準値を重要視しません。それではどうするかと言うと、その患者さんの体調に重きを置きます。「痩せている、がっしりしている」など、検査結果よりも患者さんがどのような体質であるかが重要となります。

 

そのため、漢方薬の得意な分野として「検査結果・数値で測ることのできない疾患」があります。これら数値として表すことができない病気の例としては虚弱体質、冷え性、更年期障害、不定愁訴などがあります。

 

(不定愁訴:「頭が重い」、「疲労感がある」などの症状を訴えるが、検査をしても原因が見つからない状態)

 

このように、漢方薬と西洋薬では概念自体が異なります。そして、これらの違いとして含まれている成分の種類が違うことも大きな特徴です。

 

 漢方薬とジェネリック医薬品(後発医薬品)
西洋薬の場合、含まれている有効成分は1種類だけです。1つの成分に添加物を加え、製剤化を施すことによって薬を作り上げていきます。1つの薬によって1つの症状を抑える事が西洋薬での基本的な考えです。

 

それに対して、漢方薬では多くの有効成分が含まれています。1つの純粋な有効成分しか入っていない西洋薬とは違い、多くの成分によって総合的に病気の症状を抑えるのです。

 

漢方薬では生薬(しょうやく)と呼ばれる天然物由来の物質を二つ以上組み合わせます。生薬とは、いわゆる薬草のようなものです。これら生薬を決められた割合で組み合わせることによって漢方薬となります。

 

この時の生薬としては、植物由来として葉やつぼみなどがあります。動物に由来するものとして、貝殻や昆虫を含むことがあります。鉱物由来の生薬には石膏や水晶があり、これらの鉱物類であっても漢方薬の原料として使用されます。

 

漢方薬では、それぞれの生薬に含まれる病気を治す効力によって病気を治療していくのです。

 

これらを踏まえた上で、たとえ同じ名前の漢方薬であっても、製造している製薬メーカーが違えば生薬を配合するときの比率や量が異なっています。中には、メーカーが違うことで、そもそも配合されている生薬がないこともあります。

 

このように、たとえ同じ名前をしている漢方薬であっても、含まれている有効成分の量や内容などが異なっています。そのため、漢方薬にはジェネリック医薬品が存在しません。

 

 植物由来の薬をジェネリック医薬品にするのは難しい
なお、過去にC型肝炎治療薬として「強力ネオミノファーゲンシーという先発医薬品」に対するジェネリック医薬品の品質が劣っていたという事実がありました。

 

現在では主成分を同量にするように改善していますが、強力ネオミノファーゲンシーに対する過去のジェネリック医薬品は含まれる主成分の量が少なく、実際に投与した時に症状の悪化を招いていました。

 

この強力ネオミノファーゲンシーの有効成分はグリチルリチン製剤と呼ばれています。このグリチルリチンは生薬の一種である甘草(かんぞう)に多く含まれている成分です。グリチルリチンは甘草から抽出しますが、この甘草は漢方薬で頻繁に利用される生薬の1つです。

 

西洋薬として1つの成分の有効性を検討するだけでもかなり難しいです。現在では改善されているかもしれませんが、過去には品質の劣るグリチルリチン製剤も出回っていました。

 

これが漢方薬のように多くの生薬を用い、複数の有効成分を含む医薬品であるともっと難しいです。少なくとも、ジェネリック医薬品として効果が同等である事を証明するのは至難の業です。

 

前述の通り、生薬では植物など自然に存在する物質から有効成分を抽出してきます。漢方薬を作るために植物を育成するにしても、有効成分を抽出するために質の良い生薬を育てなければいけません。

 

生薬の育成は天候にも左右され、品質や栽培量にも影響します。そのため、漢方薬メーカーは原料生薬を得るための栽培方法まで研究を行なっています。

 

この事実を考えると、下手に漢方薬のジェネリック医薬品が登場しても品質や安定配給などに大きな不安が残ってしまうことが分かります。これらの理由があるため、漢方薬にはジェネリック医薬品が存在しないのです。

 

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