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新薬メーカーによる剤形変更:ジェネリック医薬品対策

 

日本では政府が薬の値段を決定しているため、製薬企業が勝手に値段を下げることが出来ません。そのため、ジェネリック医薬品対策として「特許切れ後に新薬の値段を下げて対抗する」という事が出来ません。

 

薬の値段を操作できないため、新薬メーカーは特許によってジェネリック医薬品対策を行おうとします。

 

 剤形変更によるジェネリック医薬品対策
特許が切れたと言っても、有効成分そのものである物質特許が切れただけです。そのため、製剤特許や用途特許まで真似することは出来ません。そこで、新たに製剤特許などを取得することにより、見た目や使い方などが同じ医薬品をジェネリックメーカーが作れないようにする事があります。

 

例えば、薬を体の中でゆっくり溶け出すように工夫した徐放錠というタイプの医薬品があります。ゆっくり溶け出すため、じわじわと薬の効果が表れてきます。1日3回服用する薬であれば、1日1回の服用で済むようになります。

 

ただこのように書けば、中には「単に服用回数が減っただけではないか」と思う人もいます。しかし、本当に重要なのは必ずしも服用回数を減らしたことだけではありません。

 

薬の効果は血液中に存在する薬物濃度で考えていきます。この時に「効果が強く出すぎるために副作用が表れる毒性域」や「薬の濃度が低すぎるために効果が表れない無効域」などがあります。

 

 有効域と毒性域

 

1日3回服用するように作用時間が比較的短い薬の場合、時間によって効果の表れ方にどうしてもムラが出てしまいます。血液中の薬の濃度が高いとき、薬の作用も強く表れます。その反対に、薬を服用する直前では薬の作用も弱くなっています。

 

この問題をゆっくりと溶け出すように設計した徐放錠では解決することができます。徐放錠では少しずつ一定濃度で薬が放出されていくため、血液中の薬物濃度を一定に保つことができます。

 

つまり、1日3回服用する普通錠のように、「ある時点では薬の濃度が高く、他の時点では薬の濃度が低くなってしまう状態」を避けることができます。

 

これによって、薬の効きすぎによる副作用を回避することが出来ます。薬の効果が薄くなってしまう時間も少なくすることが出来ます。薬の溶け出す速度を制御することによって、このような事も可能になります。

 

 徐放製剤化(徐放錠)の利点

 

つまり、徐放錠にした薬を新しい剤形として発売するのです。このようにすると、「先発医薬品には薬をゆっくり溶け出すように設計した徐放錠が発売されているが、ジェネリック医薬品にはない」という状態になります。

 

ちなみに、徐放錠のデメリットとしては、副作用が表れたときになかなか体の中から薬が消失してくれない事があります。

 

 水なしで服用できるOD錠
徐放錠以外にも、剤形として薬の形を変える事により、ジェネリック医薬品対策をしている先発医薬品もあります。

 

医薬品の中には水なしで服用できるタイプの錠剤があります。通常はコップ一杯の水と一緒に服用しなければいけませんが、唾液だけで口の中で溶けていく事で服用できる薬です。このような薬を口腔内崩壊錠(OD錠)と呼びます。

 

水なしで服用できるため、旅先などで急を要する時であってもすぐに薬を服用することができます。

 

これを踏まえた上で、それまでは単なる普通錠だった薬を水なしで服用できる口腔内崩壊錠(OD錠)へと変更した先発医薬品があります。この時、全ての剤形を普通錠から口腔内崩壊錠(OD錠)へ完全にスイッチさせます。

 

すると、先発医薬品は水なしで飲めるOD錠であるが、ジェネリック医薬品は水と一緒に服用しなければいけない普通錠になります。

 

先発医薬品でもジェネリック医薬品でも、基本的には同じ効果を得られる場合がほとんどなのであまり気にしない人であれば問題ありません。ただし、水なしで服用できる薬を気に入っていた人にとって、この場合ではジェネリック医薬品は物足りなくなるかもしれません。

 

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