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役に立つ薬の情報~専門薬学

積極的にジェネリック医薬品へと変更する薬とそうでない薬

 

ジェネリック医薬品への変更を考えるとき、特に重要となる存在として「薬局の薬剤師」があります。薬剤師が患者さんに対して「ジェネリック医薬品への変更を希望するかどうか」を聞きだし、実際に調剤を行います。

 

薬の値段を調べる薬価調査に伴って、「薬局におけるジェネリック医薬品の使用状況の結果」が提示されています。この調査によると、先発医薬品からジェネリック医薬品へ積極的に変更する薬とそうでない薬がある事が分かっています。

 

 積極的にジェネリック医薬品へ変更する薬
薬局の薬剤師が積極的にジェネリック医薬品へ変更する薬として次のような種類の医薬品があります。

 

 ・自己負担額の軽減に繋がりやすい薬
 ・治療の補助として用いる薬

 

ジェネリック医薬品の利点は値段が安いことです。しかし、いくら値段が安いとは言っても、先発医薬品との値段の差が少なければ、ジェネリック医薬品へ変えるメリットを患者さんは感じにくいです。

 

例えば、睡眠薬は元々の値段が安い医薬品が多いです。1日当たりの薬の負担額が3~10円程度であることがほとんどであるため、このような薬では、ジェネリック医薬品へ変更するメリットがあまり感じられません。

 

ただし、先発医薬品の値段が高く、ジェネリック医薬品へ変更することで金銭的メリットが生じやすい医薬品であれば薬局も積極的にジェネリック医薬品へと変える場合が多いです。

 

このようなジェネリック医薬品への変更で金額が安くなる医薬品としては、高血圧治療薬や糖尿病治療薬などの「長く付き合わないといけない薬」があります。特に生活習慣病関係の薬は値段の高い場合が多いです。そのため、ジェネリック医薬品への変更によってメリットを受けやすくなります。

 

他にも、「使用頻度の高い薬」や「投与回数の多い薬」も金銭的メリットにより、積極的にジェネリック医薬品への変更が行われます。

 

また、治療の補助として用いられる薬も薬局が積極的にジェネリック医薬品を使用する種類の薬になります。治療の主軸にならない医薬品であり、このような医薬品として「胃薬」や「ビタミン剤」などが挙げられています。

 

 積極的にジェネリック医薬品へ変更しない薬
このように述べましたが、積極的にジェネリック医薬品へ変更しない薬もあります。このような薬としては次のような薬が意見として挙げられています。

 

 ・外用薬(貼り薬、点眼薬など)
 ・心の病気に使われる薬(抗うつ薬、抗精神病薬など)
 ・有効域が狭く、厳密な管理を必要とする薬

 

貼り薬や点眼薬などは「使用感」がとても重要になる医薬品です。湿布薬であれば、貼り心地やはがしやすさなどの要因も重要視されます。これら外用薬はただ単に成分が同じだけでは十分でありません。

 

さらに外用薬では、基剤など「主成分以外の物質」も薬の効果に大きく関わります。そのため、外用薬は経口薬に比べてジェネリック医薬品変更による効果の差が出やすい医薬品です。このような理由もあり、外用薬ではジェネリック医薬品の普及率が低くなっています。

 

また、ジェネリック医薬品への変更によって、患者さんが不安に思ってしまう薬も積極的に変更しないことが分かっています。このような薬として「心の病気に使われる薬」があります。

 

うつ病や統合失調症などは、いわゆる心の病気と呼ばれます。このような病気を扱う領域が精神科です。精神科では不眠症なども扱い、心の病気に関して全般的に診療を行います。

 

これら心の病気を持っている患者さんは「薬に対するこだわり」が強い傾向にあります。そのため、ジェネリック医薬品へ変更するなど、いつも使用している薬を変えることで大きな不安を与えてしまいます。

 

これらの理由から、抗うつ薬や抗精神病薬、睡眠薬など、精神科領域の薬は積極的にジェネリック医薬品へ変更しないという意見が多いです。

 

また、安全管理が厳密な薬があります。例えば、有効域の狭い薬としてワルファリンがあります。ワルファリンは血液をサラサラにすることで、血液を固まりにくくします。これによって血の塊である「血栓の生成」を防止し、脳梗塞や心筋梗塞を予防します。

 

しかし、血が固まりにくくなるために副作用として「出血」があります。この出血リスクを出来るだけ少なくし、有効な作用だけを得るために厳密な管理を必要とする薬です。これが、「有効域の狭い薬」となります。

 

ワルファリン以外にも有効域の狭い薬があり、厳密な管理が必要となる薬では薬局でも積極的にジェネリック医薬品へ変更しないという意見が多いです。このような厳密な管理が必要な薬として、ワルファリン以外にも「抗不整脈薬」や「抗がん剤」などが挙げられています。

 

ただし、抗がん剤は高額である場合が多く、ジェネリック医薬品への変更によって大きな金銭的メリットを受けることができます。ジェネリック医薬品変更によるリスクを取るか、値段が安くなる金銭的メリットを取るかは患者さん自身が選択しなければいけません。

 

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