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ジェネリック医薬品への変更が望ましくない医薬品

 

これまでにサイト内では、ジェネリック医薬品の問題点をいくつか挙げてきました。医療関係者であれば当たり前のように知っている内容も多いかもしれませんが、このような情報は実際に薬を服用する患者さんまで知らされることがほとんどありません。

 

そうは言っても、実際には先発医薬品からジェネリック医薬品へ変更しても問題のないケースがほとんどです。ジェネリック医薬品への変更で薬の値段を安くでき、その多くは問題なく治療を行うことができます。

 

ただし、中には「ジェネリック医薬品への変更で不都合な作用が表れてしまう場合もある」ので注意しなければいけません。

 

そして、ジェネリック医薬品への変更が望ましくない医薬品もあります。当たり前ですが、全てにおいて問題なく安全に適応できる制度は存在しません。

 

世界で最も信頼されている医学書の一つとしてメルクマニュアルがあります。このメルクマニュアル家庭版に「ジェネリック医薬品への変更が望ましくない医薬品」に関しての記載があります。

 

メルクマニュアルは米国での状況について記したものであるため、必ずしも同じように日本に対しても当てはめることは出来ません。しかし、どのようなジェネリック医薬品が望ましくないか参考にすることは出来ます。

 

 治療の有効域が小さい医薬品
例えば、メルクマニュアルが挙げている「ジェネリック医薬品への変更が適切でない事もあり得る場合」として、「治療の有効域が小さい医薬品」があります。それでは、「治療の有効域」について理解するために、薬の適正量から説明を行います。

 

薬には効果を発揮するための適切な服用量があります。この適切な量はたとえ同一人物であっても、年齢や体重の変化に伴って変化していきます。適正量を超えて薬を使用した場合、副作用が表れます。

 

薬としての「有益な効果が表れる有効域」と「副作用が表れる毒性域」を模式図化すると、下図のようになります。

 

 有効域と毒性域

 

 薬を服用すると、血液中の薬物濃度が上がって行きます。しかし、薬は異物として代謝・排泄されるため、時間経過と共に薬物濃度は下がっていきます。そこで、薬の濃度が有効域に留まっている間に再び薬を服用して血液中の薬物濃度を上げます。

 

これを繰り返すことによって、薬の濃度を適切な状態で保ちます。

 

この時、血液中の薬の濃度が低すぎる場合、薬の効果が表れない無効域に達してしまいます。しかしながら、投与量を多くしすぎてしまうと毒性域に到達してしまい副作用が表れてしまいます。これを防ぐために、薬の血液中の濃度が無効域より高く、毒性域より低い水準で推移させる必要があります。

 

有効域が広い薬であれば良いのですが、有効域が極端に狭い薬も存在します。抗がん剤がその代表であり、感染症に対抗する抗菌薬にもこのような薬が存在します。

 

「治療の有効域が狭い医薬品」とは、例えば以下のような薬になります。

 

 有効域の狭い医薬品

 

昔から使われている抗凝固薬(血液をサラサラにして、固まりにくくする薬)としてワルファリンがあります。ワルファリンも有効域と毒性域が狭い薬の1つです。

 

血の塊である血栓の生成を防止するために、血液を固まりにくくさせるのです。血栓が脳の血管を詰まらせると脳梗塞となり、心臓の血管を詰まらせると心筋梗塞を発症してしまいます。そのため、これら血栓が作られる過程を防止するワルファリンはとても重要な役割をします。

 

ただし、当然ながら副作用もあります。

 

ワルファリンは血液が固まる過程を防ぎますが、「血液が固まりにくい」という事は「出血が起きた時に血が止まりにくい」という事を意味しています。そのため、ワルファリンの重大な副作用として出血があります。出血と言っても、脳内出血などの重篤な症状から臓器内出血、粘膜出血などさまざまです。

 

そのため、ワルファリンを使用する場合は「薬の効果が適切な域で留まっているかどうか」を定期的に試験する必要があります。ワルファリンは有効域の狭い薬であるため、厳格な管理が必要になるのです。このように、ワルファリンは「治療の有効域が狭い医薬品」の例です。

 

これらワルファリンのように有効域の狭い医薬品は他にも存在します。例えば、抗てんかん薬としてフェニトインやカルバマゼピンがあります。心不全治療薬として使われるジゴキシンも有効域が狭いです。

 

そのため、メルクマニュアルでも「ジェネリック医薬品への変更が適切でない事もあり得る場合」として、先に述べた有効域の狭い医薬品を載せてあります。

 

他にも、「先発医薬品と同等である事の証明が出来ていない医薬品」や「反応にバラつきが出てしまう外用薬」などは、ジェネリック医薬品への変更が適切でない医薬品として載っています。

 

このように、先発医薬品からジェネリック医薬品へ変更することが、重大なリスクとなってしまう事もあるのです。

 

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