役に立つ薬の情報~専門薬学 | 薬・薬学・専門薬学・薬理学など

役に立つ薬の情報~専門薬学

ジェネリックメーカーの情報提供能力

 

ジェネリック医薬品の問題として、「ジェネリックメーカーによる情報提供能力が低い」という点があります。新薬メーカーであれば、医薬品を開発するまでの臨床試験から発売後の副作用データまで多くの情報が蓄積されています。そのため、薬を適切に使用するために膨大なデータの中から答えを導き出すことができます。

 

しかし、これをジェネリックメーカーは行うことができません。錠剤を粉砕した後の変化など、簡単な質問には答えることができます。しかし、医薬品の適正使用や副作用データに関しては回答する事が出来ないのです。

 

そのため、臨床に携わる医師・薬剤師がジェネリック医薬品を使用して副作用情報などを知りたい時、ジェネリックメーカーには問い合わせをしません。それではどこに問い合わせるかと言うと、「新薬メーカーに問い合わせ」をするのです。

 

 ジェネリック医薬品を使用して、新薬メーカーに問い合わせるという矛盾
ジェネリックメーカーの商品を使用しているため、本来はジェネリックメーカーが回答しなければいけません。しかし、実際にはジェネリックメーカーは答えることができないため、薬に関するより詳しい情報を知りたい時は仕方無しに新薬メーカーに問い合わせをするしかないのです。

 

医薬品の価値は「情報」にあります。

 

 ・適切に病気を治療するための情報
 ・他の医薬品との相互作用を避けるための情報
 ・副作用回避のための適正情報
 ・医療保険を算定するための情報

 

なぜ新薬開発に10~20年もの時間をかけているかと言うと、医薬品を適正使用するための情報を集めているからなのです。

 

病気を治すために薬を服用したにも関わらず、副作用によって病気が悪化してしまえば意味がありません。そこで、副作用リスクを出来るだけ少なくするためにデータを集めているのです。胎児に影響があるかどうかを調べる「催奇形性」やがんの発生に関わる「毒性試験」など、多くの試験を実施します。

 

治験だけでなく、実際に新薬として発売された後も情報を集め続けます。これらの作業を行うことによって、ようやく適切に医薬品を扱うことができるようになります。

 

しかし、ジェネリック医薬品ではこれらの情報がスッポリと抜け落ちてしまっています。前述の通り、場合によっては「使っている薬はジェネリック医薬品であるが、実際の問い合わせは先発メーカー」という矛盾も頻繁に起こります。

 

ただし、ジェネリック医薬品を使っている以上はある程度仕方がない部分もあります。ジェネリック医薬品のメリットはその安さにあります。ここに先発メーカーと同じような厳しい基準を臨床試験として設けるのであれば、コストを抑えて医薬品を製造することが出来なくなります。

 

ジェネリック医薬品の開発費が上がってしまうと、ジェネリック医薬品の唯一の利点である「安さ」が失われてしまいます。

 

医薬品本来の価値である「情報」の大部分を削ぎ落とすことが出来るからこそ、ジェネリック医薬品の安さという利点が見えてくるようになるのです。そのため、ジェネリックメーカーに厳格な臨床試験を課すのは現実的ではありません。

 

医薬品に安さを求める以上はある程度の情報不足を黙認しなければいけないという現実があります。

 

ただし、ジェネリックメーカーの中には臨床試験を実施している企業もあります。この場合であると、先発メーカーほど情報の蓄積はないにしても、ある程度の情報提供が可能になります。

 

※「テレビCMなど多くの広告費をかける余裕があるのなら、臨床試験を実施すべきだ」という声もあります。

 

 発売後10年以上経過しても重大な副作用が発見される
先発医薬品に比べ、ジェネリックメーカーは医師・薬剤師などの医療関係者に情報を提供するMRの数が少ないです。MRとは、製薬企業の営業の人を指します。

 

また、薬の説明書である添付文書に記載されている内容も少ないです。添付文書は先発医薬品に書かれている内容をほぼそのまま転載した内容であり、医薬品情報は質・量ともに劣ってしまいます。

 

ただし、これら医薬品情報を削ぎ落とすことによって、ジェネリック医薬品独自の安さを実現できることも確かです。ただそうは言っても、緊急時には早急な情報提供が必ず必要になります。

 

それでは、緊急時とは一体どのような時かと言うと、例えば医薬関係者向けの「緊急安全性情報」が厚労省から出されることがあります。緊急安全性情報は通称イエローレターと呼ばれています。黄色の紙で発令されるためにイエローレターと呼ばれるのです。

 

抗インフルエンザ薬であるタミフルによって起こるとされている「異常行動」の注意喚起もイエローレターで行われました。このようなイエローレターが出されたとき、新薬メーカーと同等の情報提供体制が必要となります。

 

そして重要なのは、これら医薬品による副作用は発売されて10年以上経過した後でも発見される場合があります。

 

1999年から2011年までの間で出されたイエローレターの数は13回です。このうち、発売して10年以上経過した後にイエローレターが発令された医薬品は5件に上ります。このような事実から、発売後にどれだけ時間が経過していたとしても、医薬品の副作用には注意しておかなければいけない事が分かります。

 

情報収集や情報提供などの体制が薄いジェネリック医薬品の場合、これら緊急情報に対する対応がどうしても弱くなってしまいます。

 

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