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役に立つ薬の情報~専門薬学

C型肝炎ウイルス

 

・HCV(C型肝炎ウイルス)
○フラビウイルス科ヘパシウイルス属
○一本鎖RNAを持つ
○感染経路…非経口感染(血液)
○症状…急性肝炎+慢性肝炎→肝硬変、肝癌へ進行
○ワクチン無し

 

HCVは直径55~65nmの小型一本鎖RNAウイルスであり、コアとこれを被うエンベロープの二重構造を有している。

 

塩基配列の違いにより、日本には4種類のサブタイプが存在するといわれている。日本では主に1a、1b、2a、2bなどのタイプが存在し、日本人に多いのは1bで約70%、2a型、2b型がそれぞれ20%、10%程度である。1a型はほとんど見られない。

 

感染している遺伝子型により、インターフェロン治療を行った場合の有効率に差がある。1a、1b型はインターフェロンが効きにくいタイプとされている。しかし、この遺伝子型の違いが肝炎の予後、肝癌の発症率などに影響を及ぼすことはないとされている。

 

なお、HCVはHBVと違い、成人で感染しても慢性肝炎へと進行する。

 

 HCVの感染
HCVの感染は主に血液を介して起こる。感染経路としては次のようなものが挙げられる。

 

・HCVが含まれている血液の輸血
かつては輸血による感染が多かったが、1989年以降、輸血用血液のスクリーニングが行われているため現在ではほとんど起こらない。

 

・HCVキャリアとの注射針、注射器の共有
かつては予防接種などで注射器の使いまわしが行われていたが、現在注射器は使い捨てとなっているためほとんど起こらない。しかし、覚せい剤や刺青での器具の使い回しが問題となっている。

 

・HCV陽性血液での針刺事故
医療現場で最も注意が必要である。しかし、針刺事故では体内に入ってくるウイルス量が少ないため、針刺事故の件数に対して実際に感染した件数は少数である。

 

・HCVキャリアとの性交渉や母子感染

性交渉や母親から子供への母子感染が起こることはまれである。

 

 C型肝炎の病態
HCVに感染すると、急性肝炎→慢性肝炎→肝硬変→肝癌の順に症状が進行していく。

 

・急性肝炎
HCVに初めて感染してから数ヶ月の潜伏期を経た後生じる6ヵ月未満の炎症。

 

自覚症状…発熱、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、横断など
※自覚症状は通常の風とよく似ており、また軽度なものであるため、感染に気付かないことが多い。

 

約35%の人は急性肝炎を発症した後、ウイルスが検出されなくなり自然治癒する。しかし、残りのヒトはHCVが体内に残り(HCVキャリア)、慢性肝炎を発症する。

 

・慢性肝炎
HCV感染が持続し、6ヵ月以上炎症が持続している状態。

 

自覚症状…ほとんど表れない

 

この間、ウイルスは肝細胞で増殖し続けている。慢性肝炎の状態で自然治癒することはほとんどない。また、肝硬変になると元の正常な肝臓に戻れなくなるので、慢性肝炎の状態で早期発見し、できるだけ早く治療を開始することが重要である。個人差はあるが、慢性肝炎が10~30年続くと肝硬変へと進行する。

 

肝炎の発症には免疫系が関与している。肝細胞に感染・増殖したウイルスを排除するために自己の免疫系が働く。これによってウイルス感染肝細胞が破壊され、肝炎を発症すのである。

 

・肝硬変
慢性肝炎が進んで肝臓細胞の線維化が増強され、結果的に肝臓が不可逆的に硬く変化し、肝機能が減衰した状態である。

 

自覚症状…全身倦怠感、食欲不振、吐き気、発熱、黄疸、ED、浮腫など

 

・肝癌
発がんの機序としては、HBVが宿主染色体DNAへの遺伝子組み込みであるのに対し、HCVではHCVタンパク質の関与が疑われている。

 

外科的切除が最も有望な治療手段である。

 

 薬害肝炎
○フィブリノーゲン製剤
フィブリノーゲン製剤はミドリ十字が製造していた非加熱製剤であり、外科的手術や出産時の大量出血の止血などを目的として使用されていた。

 

当時、この製剤は輸入売血または輸入売血と国内売血の混合血で製造されていた。しかし、当時HCVが発見されていなかったのと、製造工程におけるウイルス不活性化のための技術(加熱など)が不十分であったため、HCVの不活性化が十分に行われなかった。

 

このフィブリノーゲン製剤が原因となって肝炎を発症した人は1万人以上であると推定されている。

 

○第Ⅸ因子製剤
血液凝固第Ⅸ因子製剤を抽出精製したもの。血友病の治療のために開発された医薬品である。

 

この第Ⅸ因子製剤によってHCVに感染した人は2万人以上であると推定されている。

 

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