抗生物質は人類の宝物題名の通り、抗生物質は人類の宝物です。私たちはこの宝物を大事に守っていかないといけません。
「抗生物質を守っていく」とはどういうことかというと、「耐性菌の出現を抑える」ということです。耐性菌が出現してしまうと、その抗生物質は役にたたなくなってしまいます。
それでは、どのようにしてこの宝物を守っていけばいいか考えてみましょう。
ドイツとフランスでの状況
1999〜2000年に「ペニシリン耐性肺炎球菌」の出現率について調査が行われました。ドイツとフランスでの耐性菌出現率の調査結果は次のようなものでした。
| ペニシリン耐性肺炎球菌出現率 |
| ドイツ:8% |
フランス:46% |
ご存じの通り、ドイツとフランスの国境はお互いに接しており、両隣の国です。それにもかかわらず、耐性菌の出現率にはこのように明らかな差が出ています。
このような差は、二つの国での抗生物質の使用方法の違いによって生じたのです。
まず、抗生物質の使用量を見てみましょう。フランスの抗生物質の使用量は、ドイツの約3倍です。つまり、フランスの方が抗生物質を頻繁に使用しているのです。
また、「かぜの患者に対して抗生物質を使用するかどうか」ですが、ドイツでは8%のヒトに、フランスでは49%のヒトに抗生物質を投与します。
検査の面では、ドイツは診断のために多くの検査を行い、注意深く経過検察します。それに対し、フランスは検査を行わず経験的に投与します。
ドイツでは検査をしているため、狭域ペニシリンを高容量で投与して治療します。それに対し、フランスでは広域ペニシリンを通常用量で投与します。
両国にはこのような違いがあるため、耐性菌の出現率に差がでてしまったのです。
なお、同じ調査で日本での「ペニシリン耐性肺炎球菌」の出現率は64%でした。この数値を見ると、日本での耐性菌に対する意識はまだまだ低いと言わざるを得ません。
耐性菌に対する意識の違い(日本とアメリカの場合)
同じ抗生物質でも、アメリカでは日本よりも最大使用量が3〜4倍も多い場合があります。これは、アメリカと日本での耐性菌に対する意識の違いです。
アメリカでは少々の副作用よりも、耐性菌の出現の方を恐れているということです。
ただし、薬を多く服用するということはそれだけ副作用も強く出るということです。要は副作用を重視するか、耐性菌を出さないことを重視するかの違いです。
低用量で服用した場合、その中には当然生き延びる細菌がいるため、その分だけ細菌は耐性を獲得しやすくなります。そして、細菌を高用量で一気に殺してしまえばその分だけ耐性菌が出現する確率は低くなります。
副作用と言ってもさまざまですが、「体がだるくなる」など薬の服用をやめれば治る副作用であるなら、薬の服用量を多くしてもかまわないのではないでしょうか。
ただし、再生不良性貧血など一度発症すれば治らない病気が副作用によって起こる場合、当然ですが気をつけないといけません。

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