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ザガーロ(デュタステリド)の作用機序:男性型脱毛症(AGA)治療薬

 

男性では、薄毛による脱毛に悩む人が比較的多いです。男性ホルモンなどの働きにより、薄毛・脱毛が進行してしまうのです。このような男性に特徴的な脱毛を男性型脱毛症(AGA)といいます。

 

そこで、男性型脱毛症(AGA)を治療するために投与される薬として、デュタステリド(商品名:ザガーロ)があります。デュタステリドは5α-還元酵素阻害薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

 

 デュタステリド(商品名:ザガーロ)の作用機序
男性の脱毛の原因としては、暴飲暴食や喫煙などを含めて多くの因子が存在します。また、父親の頭が後退していると、「自分も薄くなるのでは」と心配する人が多いですが、これは薄毛理由の一つに「ハゲ遺伝子」の存在があるからです。

 

こうした薄毛の要因はありますが、脱毛が進行する原因の一つとして男性ホルモンの存在があります。男性ホルモンは骨格筋を強固にして、男性機能を活発にするなど、性ホルモンとして重要な働きをします。ただ、髪の毛については好ましくない作用をするのです。

 

男性ホルモンには種類があります。その中でも有名な男性ホルモンとして、テストステロンが知られています。ただ、テストステロンは薄毛にあまり関与していないとされています。

 

それよりも重要なのは、ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンです。テストステロンに対して、ジヒドロテストステロンは10~30倍も強力だといわれています。

 

ジヒドロテストステロン(DHT)は酵素の働きによって、テストステロンから作られます。このときの酵素を5α-還元酵素といいます。つまり、5α-還元酵素が働きかけることで、「テストステロン → ジヒドロテストステロン」へと変換されます。

 

そこで、5α-還元酵素を阻害することができれば、ジヒドロテストステロンは作られなくなります。ジヒドロテストステロンが産生されなくなるため、こうして脱毛が抑えられます。

 

 5α-還元酵素阻害薬:前立腺肥大症治療薬

 

このような考えにより、薄毛に関わる男性ホルモン(ジヒドロテストステロン:DHT)の働きを抑えることにより、男性型脱毛症(AGA)を治療する薬がデュタステリド(商品名:ザガーロ)です。

 

 

 デュタステリド(商品名:ザガーロ)の特徴
どれだけ健康な髪の毛であっても、一定の期間生えれば自然に抜けていきます。これをヘアサイクルと呼びます。まず、産毛として育った髪の毛は、成長してしっかりとした毛になります。そこから、何年も生え続けた後に脱毛していくのです。

 

ここでジヒドロテストステロンが作用すると、ヘアサイクルが短くなります。通常のヘアサイクルは約5年ですが、薄毛の人では短い期間でヘアサイクルが回っていくのです。こうして、脱毛が進行していきます。

 

つまり、ジヒドロテストステロンの働きを抑える薬は、「ヘアサイクルを改善して脱毛を抑える働き」があるといえます。そのため、デュタステリド(商品名:ザガーロ)を使用すれば、長さや太さなど「髪の毛の質」を改善できます。

 

ただ、作用機序の観点から、デュタステリド(商品名:ザガーロ)は発毛を促進するわけではありません。発毛を促進したい場合、頭皮マッサージなどによるケアが必要です。

 

なお、デュタステリド(商品名:ザガーロ)の副作用としては、男性ホルモンの働きを抑えることから性欲減退(リビドー)や勃起不全(ED)、射精障害などが知られています。

 

もともと、デュタステリドは前立腺肥大症治療薬としてアボルブという商品名で活用されています。ただ、男性ホルモンの働きを抑えることから、薄毛の治療にも用いることができるのではと考えられました。そこで、前立腺肥大症治療薬デュタステリド(商品名:アボルブ)を、そのまま男性型脱毛症(AGA)治療薬デュタステリド(商品名:ザガーロ)として開発したのです。

 

なお、女性の薄毛にデュタステリド(商品名:ザガーロ)は無効です。効果がないどころか、副作用しか表れないため男性の薄毛にのみデュタステリドが活用されます。

 

このような特徴により、男性型脱毛症(AGA)に対して活用され、髪の毛の太さや長さを改善することでヘアサイクルを正す薬がデュタステリド(商品名:ザガーロ)です。

 

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