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ポリフル、コロネル(ポリカルボフィルカルシウム)の作用機序:過敏性腸症候群

 

大腸などの消化管運動の異常により、下痢や便秘、ガス過多などの便通異常が起こる状態として過敏性腸症候群(IBS)があります。

 

炎症や潰瘍などの目に見える所見がないにも関わらず、過敏性腸症候群では先に挙げたような症状をきたしてしまいます。

 

そこで、これら過敏性腸症候群の症状を改善する薬としてポリカルボフィルカルシウム(商品名:ポリフル、コロネル)があります。ポリカルボフィルカルシウムは高吸水性ポリマーと呼ばれる種類の薬になります。

 

 

 ポリカルボフィルカルシウム(商品名:ポリフル、コロネル)の作用機序
過敏性腸症候群はストレスや生活習慣の乱れなどによって起こるため、これらの要因を取り除くことが基本となります。これに伴って薬物治療を行い、病気の症状を改善していきます。

 

下痢が起こっているとき、腸の異常によって糞便中の水分量が過剰になっています。水様便のために下痢が起こるため、これらの水分を吸い取ってしまえば下痢症状を改善できることが分かります。

 

このような水分を吸い取る性質の物質として高吸水性ポリマーがあります。多量の水分を吸収する性質をもつ高分子化合物であり、これらの働きをする物質としてポリカルボフィルカルシウム(商品名:ポリフル、コロネル)があります。

 

薬を投与するとき、Ca(カルシウム)が結合したポリカルボフィルカルシウムの形で服用します。これが胃の中でカルシウムが外れ、ポリカルボフィルとなって吸収作用を示すようになります。

 

ポリカルボフィルが水分を吸収すると、ゲル化します。ゲルとは、こんにゃくやゼリーなど流動性のないスライム状の物質と考えれば問題ありません。

 

ポリカルボフィルによる吸水作用によって増加した腸内の水分を減少させるため、腸に存在する食物の通過時間を遅らせることで排便回数を少なくさせることができます。その結果、便を正常な形へと改善して下痢症状を治療します。

 

また、ポリカルボフィルが水分を吸収するため、便秘時では水分の保持機能として働くようになります。腸に水分が維持されるため、腸内に存在する内容物の容積が増大します。

 

容積が大きくなると、その分だけ腸内が刺激されるために排便が促されます。ポリカルボフィルの水分保持作用により、糞便の形を正常にする役割も果たします。

 

 ポリカルボフィルカルシウム(ポリフル、コロネル)による過敏性腸症候群の治療

 

このように、水分を吸収する高分子ポリマーの投与によって過敏性腸症候群の下痢や便秘を改善する薬がポリカルボフィルカルシウム(商品名:ポリフル、コロネル)です。

 

 

 ポリカルボフィルカルシウム(商品名:ポリフル、コロネル)の特徴
通常、下痢の時には止瀉薬や整腸剤が使用され、便秘時では緩下剤が多用されます。しかし、これらの薬はどちらか一方だけにしか効果が表れません。

 

過敏性腸症候群では下痢と便秘の両方が存在しています。さらに、交差型として下痢と便秘が繰り返される場合もあります。そのため、一方だけでなく下痢と便秘の両方に対して効果を示す薬が必要になります。そこで開発された薬がポリカルボフィルカルシウム(商品名:ポリフル、コロネル)です。

 

先に述べた通り、ポリカルボフィルは水分を吸収して膨張することにより、下痢と便秘の両方を改善することができます。

 

胃などの酸性条件下では、ポリカルボフィルは吸収作用を示しません。これが腸に移行して中性条件下になると、膨張・ゲル化するという特性を有しています。腸から吸収されず、そのまま糞便と一緒に排泄される薬物です。

 

このように、下痢と便秘の両方を改善させるという特性を有し、過敏性腸症候群を治療する薬がポリカルボフィルカルシウム(商品名:ポリフル、コロネル)です。

 

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