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役に立つ薬の情報~専門薬学

拒絶反応と免疫抑制

 

 移植による拒絶反応(同系とアロ)
移植には臓器提供者のドナー(donor)と臓器需要者のレシピエント(recipient)が存在する。同系とはまったく同じ遺伝子をもつものであり、例として一卵性双生児などが挙げられる。同系に対し、アロとは他人のことである。

 

移植による拒絶反応には超急性拒絶反応、急性拒絶反応、慢性拒絶反応の三種類がある。

 

超急性拒絶反応では、移植した臓器に対する抗体が原因によるものである。急性拒絶反応は細胞性免疫によるものである。慢性拒絶反応は移植臓器の生着後、年単位で現れる拒絶反応のことである。

 

通常の拒絶反応は私たちの免疫が移植した細胞に対して攻撃するHVG反応(宿主対移植片反応)である。しかし、免疫機能が低下している患者では、移植した組織が宿主の細胞に対して免疫応答を起こす場合がある。これをGVH反応(移植片対宿主反応)という。GVH反応は骨髄移植の場合に発生しやすい。

 

 急性拒絶反応
急性拒絶反応は細胞性免疫によるものである。

 

ドナー組織にはMHC分子が発現しており、これは自己と異なる他人のMHC分子なのでアロMHC分子である。このアロMHC分子を宿主のT細胞が認識・活性化することで免疫応答が起こる。

 

なお、T細胞がアロMHC分子を認識するとき直接認識間接認識の2種類が存在する。直接認識とはT細胞がアロMHC分子を直接認識する方法である。

 

間接認識では、まずドナー細胞のアロMHC分子が細胞表面からはがれる。このはがれたアロMHC分子を抗原提示細胞が取り込み、提示するのである。提示されたアロMHC分子をT細胞が認識することで免疫応答を起こす。

 

 直接認識、間接認識

 

 シクロスポリン、タクロリムス
免疫抑制剤にはさまざななものが存在するが、ここではシクロスポリンタクロリムスについて紹介する。

 

シクロスポリンとタクロリムスであるが、その作用機序はほとんど同じである。そして、両方ともIL-2産生を阻害する。

 

IL-2にはT細胞の増殖を促す作用がある。もしキラーT細胞が活性化されても、その数が十分に増えないと重篤な拒絶反応は起こらないのである。

 

・作用機序
シクロスポリン、タクロリムスが細胞内に入るとタンパクと結合し、複合体を形成する。そして、どちらの複合体もカルシュニューリンという酵素に作用し、その活性を阻害する。

 

カルシュニューリンが阻害されると、IL-2遺伝子の転写因子がリン酸化されなくなり、核内に移行できなくなる。つまり、IL-2の転写が阻害されるのである。

 

シクロスポリンとタクロリムスの作用の違いであるが、複合体を形成するタンパクが違うだけである。シクロスポリンはシクロフィリン(CyP)と複合体を形成し、タクロリムスはFKBPと複合体を形成する。

 

なお、タクロリムスの方が作用が強いため、シクロスポリンよりも少量で用いられる。

 

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