役に立つ薬の情報~専門薬学 | 薬・薬学・専門薬学・薬理学など

役に立つ薬の情報~専門薬学

モノクローナル抗体

 

 モノクローナル抗体
抗体は多くの抗体産生細胞が作る。抗原は多数の抗原決定基(エピトープ)をもつので、たとえ同じ抗原を認識する抗体を集めてとしても、それらの抗体はいろいろな抗原決定基を認識する抗体が混ざった状態で集められる。

 

このように同一でない抗体が多数混ざっている集合体をポリクローナル抗体という。それに対し、特定の抗原決定基だけと結合する抗体の集合体をモノクローナル抗体という。モノクローナル抗体の性質は均一である。

 

 モノクローナル抗体の作成
モノクローナル抗体を作成するには、まずマウスに抗原を感作させる。つまり、抗原を注射するのである。すると、注射した抗原に対する抗体を産生する細胞ができる。

 

 抗体産生細胞の作成

 

抗体を産生する細胞は脾臓に多くあるため、脾臓から抗体産生細胞を取ってくる。このとき、脾臓から取ってきた抗体産生細胞(抗体産生リンパ球)は、さまざまな抗原決定基を認識する抗体産生細胞が混ざった状態である。

 

抗体産生細胞はこの状態のままでは長期培養することができない。この状態のままでは、一週間程度で抗体産生細胞が死滅してしまう。

 

細胞が死ぬのを抑える(不死化させる)ために形質細胞のがん細胞が使われる。つまり、抗体産生細胞とがん細胞を融合させるさせるのである。(細胞融合・ハイブリドーマ形成)

 

形質細胞とは、抗体を産生する細胞のことである。(形質細胞の腫瘍細胞=ミエローマ)

 

 抗体産生細胞 腫瘍細胞 → ハイブリドーマ形成

 

うまい具合に抗体産生細胞と腫瘍細胞が細胞融合してくれればいいが、抗体産生細胞同士や腫瘍細胞同士がハイブリドーマを形成することもある。また、うまく細胞融合しない細胞も当然ながら現れる。

 

 ハイブリドーマ形成に関する問題点

 

PEGや電気刺激などによって細胞融合を起こしてハイブリドーマを形成させた場合、上の図のように3種類のハイブリドーマが形成される。ハイブリドーマ以外にも細胞融合していない細胞が混じっており、これらの細胞の中から抗体産生細胞と腫瘍細胞のハイブリドーマだけを選択的に選び出さないといけない。

 

抗体産生細胞は前述の通り、日にちが経てば勝手に死滅してくれる。問題は腫瘍細胞である。腫瘍細胞は死滅しないので、HAT培養液によってリンパ球とがん細胞のハイブリドーマを選択する。

 

 デノボ経路とサルベージ経路
DNAの合成には核酸塩基が必要であり、この核酸塩基を合成する経路にデノボ経路サルベージ経路がある。デノボ経路は新しく核酸塩基を合成する経路であり、サルベージ経路は不要になったDNAやRNAの塩基を再利用する経路である。

 

デノボ経路、サルベージ経路は共にプリンヌクレオチドを合成する経路である。つまり、最終的にはGTP、dGTP、ATP、dATPが合成される。

 

DNAが合成されるとき、両経路ともIMPという物質を合成する。このIMPからGMPやAMPが合成される。デノボ経路でIMPが合成されるときはPRPPという中間性生物を得て合成される。また、サルベージ経路ではヒポキサンチンという物質からIMPが合成される。

 

アミノプテリンという物質はPRPPからIMPが合成される過程を阻害する。つまり、アミノプテリンを添加するとデノボ経路で核酸塩基を合成できなくなるのである。この状態では細胞は増殖することができず、死滅してしまうのである。

 

そこで利用するのがサルベージ経路である。HGPRT(ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)という酵素はヒポキサンチンをIMPに、グアニンをGMPに変換する働きがある。

 

腫瘍細胞はあらかじめHGPRTを欠損させた変異株を使用するので、DNA合成はデノボ合成に頼るしかない。そのため、アミノプテリンを添加すると細胞増殖ができずに死滅する。

 

抗体産生細胞と腫瘍細胞のハイブリドーマでは、抗体産生細胞(正常リンパ球)からHGPRT産生能力を受け継いでいるので、ヒポキサンチンも同時に添加すれば生き残ることができる。

 

 リンパ球とがん細胞のハイブリドーマの選択

 

また、アミノプテリンはカルバモイルリン酸からdTTPが合成されるのも阻害する。そのため、dTTPの合成はチミジンからチミジンキナーゼによってdTTPが合成される経路を利用する。

 

 dTTPの合成経路

 

アミノプテリン、ヒポキサンチン、チミジンを含んでいる溶液をHAT培養液といい、この溶液によってリンパ球とがん細胞のハイブリドーマを選択することができる。

 

 モノクローナル抗体の投与
モノクローナル抗体はがん細胞、自己免疫疾患、感染症などに応用できる。また特異性が高く、標的とする抗原が分かっているので医薬品としての開発率が高い。

 

ただし、ヒトにモノクローナル抗体を投与するとき、マウスのモノクローナル抗体ではモノクローナル抗体に対する抗体ができ、長期投与することができない。そのため、マウスのモノクローナル抗体をヒトの免疫グロブリンに近くなるように調整する必要がある。

 

・キメラ抗体
マウス抗体の可変部だけを取ってきて、ヒト抗体の定常部に導入した抗体である。つまり可変部はマウス由来、定常部はヒト由来の抗体となる。マウス抗体とヒト抗体の割合はマウス由来が約30%、ヒト由来が約70%である。このような抗体をキメラ抗体という。

 

・ヒト化抗体
超可変部は抗原と直接結合する部分であり、超可変部だけをマウス型にした抗体をヒト化抗体という。マウス由来は約10%である。

 

・ヒト抗体
マウス免疫グロブリン遺伝子をノックアウトしたマウスと、ヒト免疫グロブリン遺伝子を導入したマウスを交配させると、ヒト免疫グロブリンだけを産生するマウスができることがある。

 

このように、ヒト免疫グロブリンを産生するマウスから調整した抗体をヒト抗体という。ヒト抗体では100%ヒト由来の抗体となる。

 

 キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体

 

知識ゼロから薬の専門家へ : 無料メールセミナー     薬剤師が転職で失敗しないためには

スポンサードリンク




スポンサードリンク