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花粉症:花粉症を治す

 

日本では花粉症が大変問題となっています。外国でも花粉症は存在しますが、日本のようなスギによる花粉ではありません。

 

寒い冬から春になり、だんだんと温かい季節になるとスギの花粉が飛散し始めます。「この時期になるとつらい」と思う人は多いと思います。日本人の5人に一人は花粉症だと言われています。

 

実は花粉症の完治はとても難しいのです。これは後で説明しますが、花粉症はヒトが生まれながらもっている「免疫」の働きによって起こるからです。

 

花粉症は花粉に対するアレルギー反応です。このアレルギー反応は免疫によって起こるのです。

 

現在は花粉症などを含むアレルギーを一時的ではなく、根本的に治療する方法が研究されています。

 

 根本治療の難しい花粉症
前述の通り、花粉症は免疫の反応によって起こります。それではなぜ花粉症の根治が難しいかを紹介しようと思います。

 

「免疫」は外敵から身を守るために必要不可欠なものです。この作用のおかげで、ヒトは病気に簡単にかからないようになっています。

 

病気を発症してしまうと、免疫は病原菌を退治しようとします。そのときに免疫は「抗体」を作り、病原菌を破壊します。

 

一度病気にかかり抗体を作ると、次に同じ病原菌が進入してきてもすぐに対処できるようになるのです。これが一度病気にかかると同じ病気にかかりにくい理由です。

 

さらに、免疫は敵の情報を半永久的に忘れません。そのため、子供の頃に病気にかかったりワクチンを打ったりすると、その病気にかかることなく健康に過ごすことができるのです。もし、病気を発症したとしても軽くすみます。

 

花粉が大量に体内に入り込むと花粉に対する抗体が作られます。これが花粉症の原因です。半永久的に免疫の情報を忘れることのない免疫系だからこそ、根治が難しくなります。つまり花粉に対する免疫情報を忘れないのです。

 

 花粉症の起こる仕組み
大量の花粉によって花粉に対する抗体が作られます。この抗体は白血球の一種である肥満細胞の上に並べられ、花粉の侵入を待ちます。そして花粉が体内に侵入し、抗体と花粉が反応すると肥満細胞は「ヒスタミン」という化学物質を放出します。

 

ヒスタミンの作用によって花粉症の症状である「くしゃみ、鼻水、目のかゆみ」が出てくるのです。

 

花粉症の起こる仕組み

 

この作用は炎症反応の一つであり、炎症も免疫と同じくヒトにとって大切な作用です。炎症によって病原体を体から排除したり周りに広がるのを抑えたりします。

 

花粉症の症状は花粉を体から追い出し、花粉が体内に入るのを防ごうとするために起こるのです。

 

 花粉症の治療
花粉症の治療には次の4種類があります。

 

・花粉を体内に取り込まないようにする
・薬で症状を抑える
・レーザー手術
・花粉に慣れる(減感作療法)

 

花粉を体内に取り込まないようにするには、マスクや空気清浄機を使います。これによって、花粉そのものが体内に入るのを防ぎます。また、薬を使用するとくしゃみや鼻水などの症状を抑えてくれます。

 

レーザー手術は鼻の粘膜を焼くなどして、花粉が粘膜から入らないようにします。しかし、鼻粘膜は再生するため、効果の持続期間は平均二年間といわれています。

 

これらの方法は花粉症に対して一時的にしか効果がありません。花粉症を根本的に治療するのではないのです。

 

それに対して、花粉に慣れる減感作療法は花粉症の根治が可能な治療法です。

 

花粉への抗体の量が少なければ、花粉症の症状が軽くなることは理解してもらえると思います。減感作療法は花粉を少量ずつ体内に取り込んでいき、花粉に慣れることで花粉症を治療する方法です。

 

減感作療法は、花粉症だけでなくダニなどの他のアレルギーにも応用されています。

 

ただし、この方法の問題点は注射をすることにあり、少なくとも2年以上続けないといけません。かなりの根気がいるため、途中でやめてしまう人も珍しくありません。

 

そこで、新しい減感作療法として、注射の代わり舌を使う「舌下減感作療法」があります。

 

この方法はスギ花粉を含んだ液を舌にたらして、2分間その状態のままいるだけです。この方法なら注射の必要はなく、自宅でも可能です。そのため、通院も少なくてすみます。

 

花粉症から完全に治る方法は、現在では減感作療法しかありません。花粉症で苦しんでいる方も、もしかしたら花粉症を根治できるかもしれないです。

 

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