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  家庭の医学

  性感染症 -AIDS(エイズ)-

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はAIDS(後天性免疫不全症候群)の原因ウイルスです。現在ではAIDSに対する知識や認識は広がってきました。

AIDSはアメリカで最初に発見され、その後世界に急速に広まりました。現在ではAIDSは重大な社会問題になっています。

 エイズ・HIVの特徴
エイズには次のような特徴があります。
・重篤な免疫不全症を引き起こす
・血液を介して、ヒトからヒトへうつる

HIVはとても弱いウイルスであり、ヒトの体の中でしか生きることができません。また、ヒトやチンパンジー以外に感染することはできません。

物理的な刺激に弱く、酸素や消毒薬に触れたり熱したりすると感染力がなくなるまたは死滅します。

エイズによって直接死ぬことはありません。エイズに感染することで免疫機能が働かなくなり、他の病気に感染することで死んでしまうのです。

 エイズへの感染
エイズはHIVが血液などを介して直接体内に入ることで感染します。つまり、エイズの感染は性的交渉、輸血、母子感染、血液製剤、注射の回し打ちなどで成立します。

エイズに感染するとHIVは免疫細胞の一種であるヘルパーT細胞に侵入して増殖します。また、マクロファージ系の細胞にも侵入・感染します。

エイズに感染しているかどうかを調べる方法の一つに「抗HIV抗体があるかどうかでの判定」があります。ところが、HIVに感染して6〜8週間は抗HIV抗体ができません。(HIVの増殖はあります)

この時期に採血した血液を抗体検査しても抗HIV抗体は検出できません。そのため、エイズに感染していても結果は陰性で出てしまいます。

HIV感染者は感染した後も無症状のまま感染が進行します。無症状ではあるがヘルパーT細胞の数は減少し続けます。そして、免疫力も低下していきます。

 エイズの治療
現在、エイズを根本的に治すことのできる薬はありません。薬によって延命することしかできません。

細菌やウイルスを標的とした薬を開発するとき、多くはその病原菌にあるがヒトにはない機構を阻害します。例えばHIVには逆転写酵素という酵素をもっているが、ヒトにはありません。そこで、この逆転写酵素を阻害します。

また、逆転写酵素阻害薬とは異なる機構でHIVの増殖を抑えるプロテイナーゼ(エンドペプチダーゼ)阻害薬も開発されています。これらの薬を同時に投与する多剤併用療法を行うことで症状の改善を図ることができます。

しかし、HIVは変異しやすくこれらの薬剤を長期にわたって投与し続けると耐性菌が出現してしまいます。また、エイズに有効なワクチンはまだ開発されていません。

エイズワクチンはまだ開発されていませんが、もしワクチンが開発されればエイズは地球上から撲滅できるかもしれません。なぜなら、天然痘を地球上から撲滅することができたからです。

天然痘ウイルスはHIVと同じようにヒト(HIVはチンパンジーも)が唯一の宿主です。そして、世界中で天然痘ワクチンの摂取を徹底することで地球上から天然痘を撲滅することに成功しました。同じことがエイズでも可能なはずです。