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役に立つ薬の情報~専門薬学

糖尿病で重要となる糖の動き

 

糖尿病は血液中の糖が多くなってしまった病態です。そのため、食物に含まれる糖が体の中に吸収され、その後どのような過程を経るかを理解することが必要です。

 

 ・糖の流れにおける全体像
食物に含まれる糖は主に炭水化物として存在しています。この炭水化物は唾液など消化酵素の働きによってブドウ糖(グルコース)にまで分解されます。

 

このブドウ糖は小腸まで移動した後に吸収されることで血液中に分布します。糖であるブドウ糖が血液中に入るため、当然ながら血糖値が上昇します。

 

この「血糖値の上昇」が合図となり、血糖値を下げるためにすい臓のβ細胞からインスリンが分泌されます。

 

血液中に分泌されたインスリンは組織に作用することで、血糖値を下げるように働きます。インスリンが働くことで肝臓や筋肉、脂肪細胞などに糖が移行します。

 

糖がこれらの組織に移動するので、血液に存在する糖の量も少なくなります。つまり、血糖値が下がります。

 

 

糖尿病で重要となる糖の動き
このように、インスリンの働きによって糖が血液中から組織に移動することによって全身のエネルギー源となります。

 

なお、上図のように糖の動きや流れは三つに分けることができます。

 

 ① 糖が分解・吸収される
 ② 糖が血液中に分布する
 ③ インスリンが作用する(糖の貯蔵)

 

 ・糖が分解・吸収される
小腸から栄養が吸収されるためには、消化酵素によって細かく分解される必要があります。そのために唾液や胃液、膵液などの消化液が必要になります。

 

食物中の糖は主に炭水化物として存在しています。炭水化物は糖がいくつも連なった状態です。植物ではこの炭水化物をデンプンとして、動物では体内にグリコーゲンとして蓄えられています。

 

この炭水化物を消化酵素によって分解していくと、それ以上分けることができない一つ一つの糖(単糖類)にまで分けることができます。

 

 糖の分解

 

このとき、重要な消化酵素としてα-グルコシダーゼがあります。

 

α-グルコシダーゼは「二糖類 → 単糖類」への分解に関わっています。つまり、ブドウ糖(グルコース)が二つくっついている二糖類の状態から、それぞれ一つずつの状態である単糖類へと分解します。

 

消化酵素によってブドウ糖としての単糖類にまで分解されることで、ようやく小腸から糖として吸収できるようになります。ブドウ糖が二つ結合している二糖類の状態であると、小腸からは吸収されません。

 

 ・糖が血液中に分布する
ブドウ糖として単糖類にまで分解された糖は小腸から吸収され、血液中へと移行します。このため、血液中に存在する糖の濃度は上昇してしまいます。

 

 ブドウ糖の吸収

 

このとき、血液中に溶け込んだブドウ糖を血糖と呼びます。この血糖の値が血糖値です。つまり血糖値とは、血液の中にどれくらいブドウ糖が溶けているかを示す値です。血糖値の単位はmg/dl
で表されます。

 

糖尿病患者では、この血糖値が常に高い値を示します。これによって、さまざまな合併症を引き起こすようになります。

 

 「正常な人」と「糖尿病患者」における血糖の様子

 

前述の通り、糖尿病患者では血糖値が高いために尿中に糖が検出されます。ただし、正常な人であれば尿中に糖が出ることはありません。

 

腎臓は老廃物を体の外へ排出するために尿を作ります。このとき、腎臓で最初に作られる原尿には老廃物以外にも、糖やアミノ酸など体に必要な栄養素も含まれています。

 

糖やアミノ酸は重要な栄養源であるため、そのまま体外へ排泄されたのでは不都合です。そこで、老廃物は尿の中に残して栄養だけを再び体の中へ再吸収させます。

 

正常な人であっても、尿が最初に作られた時の原尿には糖が含まれています。しかし、尿が膀胱に到達するまでに糖は体の中へと再吸収されるため、正常な人では排泄される尿の中に糖は出てきません。

 

これが糖尿病患者の場合、血糖値が高すぎるために腎臓で最初に作られる原尿にも多くの糖が含まれた状態となります。原尿に含まれる糖分が多いため、体の中への再吸収が間に合わなくなります。その結果、尿中から糖が検出されてしまいます。

 

 腎臓での再吸収の概要

 

このように、尿中に溶け込んだブドウ糖を尿糖と呼びます。尿糖を測定することでも、糖尿病の簡単な検査を行うことができます。

 

 ・インスリンが作用する(糖の貯蔵)
血中へと移動した糖は全身のエネルギー源として各組織に取り入れられます。この時にインスリンが作用します。

 

インスリンは肝臓や筋肉、脂肪細胞へ作用することで血液中のブドウ糖を各細胞の中へと取り込ませます。これによって、血糖値が下がっていきます。このときのブドウ糖は筋肉細胞などでグリコーゲンとして蓄えられます。

 

 糖の分布

 

このとき、インスリンは肝臓での糖新生を抑制する作用をもちます。

 

 ・糖新生とは
食事後は血糖値が高い状態となっていますが、その反対に、お腹の空いている飢餓状態であると血糖値が下がっている状態であると予想されます。

 

血糖値が低いと低血糖として動悸や手足の振るえが起こり、昏睡状態にまで陥ってしまいます。そこで、このような状態を防ぐために血糖値を維持する必要があります。つまり、血糖値の下がりすぎを防止します。

 

この機構の一つとして糖新生があります。糖新生とは、その名の通り糖を新しく作る(新生する)機構のことです。

 

インスリンによって各組織に取り込まれたブドウ糖はグリコーゲンとして蓄えられます。糖新生では、肝臓でのグリコーゲンを分解することでブドウ糖へと変換します。これによって、血液中のブドウ糖濃度を上げることで血糖値を一定に保ちます。

 

 糖新生とは

 

このように、血糖値を維持するために糖新生はとても重要です。しかし、糖尿病患者ではこの機構が血糖値の上昇を招くために不都合となってしまいます。

 

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