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認知症の病態(アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・脳血管性認知症)

 

主な認知症としては「アルツハイマー型認知症」、「レビー小体型認知症」、「脳血管性認知症」の三つがあります。この三つの認知症を合わせると約9割となるため、これらの認知症の病態を理解することが重要となります。

 

また、認知症では周辺症状や中核症状が問題になりやすいです。こうした症状とセットにして理解することで、認知症への理解が深まります。

 

アルツハイマー型認知症の病態

 

認知症の約50%がアルツハイマー型認知症によるものです。アルツハイマー型認知症では、高齢になるほど発症しやすいです。何年もの時間を経て、少しずつ病気の症状が進行していきます。

 

このようなアルツハイマー型認知症の患者さんでは、「老人斑」と「神経原線維変化」の二つの特徴的な構造的変化が起こっています。

 

老人斑とは、大脳皮質に沈着するタンパク質の塊のことです。

 

このタンパクはアミロイドベータ(Aβ)という異常なタンパク質が凝集したものであり、これが老人斑を形成して脳にシミのようなものを作ります。アルツハイマー患者では多量の老人斑が沈着しています。

 

また、アルツハイマー型認知症では神経細胞の中に糸くずのようなものが蓄積します。これが、神経原線維変化のことです。神経原線維変化は、タウタンパクと呼ばれるタンパク質が凝集することで起こります。

 

老人斑と神経原線維変化

 

このような老人斑の蓄積や神経原線維変化が起こることにより、脳の神経細胞が死滅していきます。これによって、脳の萎縮が起こります。

 

脳の構造的な変化が起こることで神経細胞が減ってしまうと、記憶において重要となる神経伝達物質が減少します。これにより、脳の記憶機能が衰えて物忘れなどの症状が表れてしまいます。

 

病気の進行

 

アルツハイマー型認知症は何年もの時間をかけてゆっくりと進行する病気です。この症状が進行する過程としては物忘れなどの前兆(軽度認知障害)から始まり、「第一期(軽度)→ 第二期(中等度)→ 第三期(高度)」へと変化していきます。

 

軽度認知障害は認知症と言うまでは症状が進行していない状態を指します。記憶力の低下が少しずつ始まってはいるが、日常生活に支障をきたしていません。

 

これが、第一期(軽度)となると学習障害(覚えられない)や失見当識(時間が分からない)、感情の動揺(不安や恐怖など)が認められるようになります。ただし、人格はまだ保たれています。

 

第二期(中等度)ではより記憶力の低下が起こり、高次脳機能障害が目立つようになります。高次脳機能障害としては「記憶障害」、「注意障害(注意力を維持しにくい)」、「遂行機能障害(論理的に考えて計画・実行ができない)」などがあります。

 

症状が第二期まで進行すると地誌的見当識障害(道順が分からなくなり、家に帰れなくなる)や徘徊などの症状も表れてきます。

 

第三期(高度)のアルツハイマー型認知症では歩行障害によって介護を要するようになり、発する言葉も減ってきます。最終的には寝たきりとなります。

 

アルツハイマー型認知症の進行

 

レビー小体型認知症の病態

 

レビー小体型認知症の特徴としては、大脳皮質にレビー小体というタンパク質の塊が現れることにあります。レビー小体型認知症は高齢者に多いですが、40代の比較的若い人でも発症します。男性患者数は女性患者数の約二倍と言われています。

 

アルツハイマー型認知症の場合では、もの忘れなどから症状が始まります。これに対し、レビー小体型認知症では物忘れだけでなく、パーキンソン病のような症状(運動障害)を表します。

 

さらに加えて、レビー小体型認知症では幻覚症状(特に幻視)や妄想が表れます。病気による症状の重さが日や時間によって変動することも特徴の一つです。

 

レビー小体型認知症の主な特徴

 

①認知機能の障害 :記憶を留めることが難しい
②運動機能の障害 :歩行障害、体を動かしにくい
③幻視 :見えるはずのないものが見える
④症状の変動 :病気の症状の重さが日によって変動する

 

レビー小体による幻視

 

脳血管性認知症の病態

 

脳血管性認知症の原因としては、脳梗塞や脳出血の多発によるものが70%以上を占めます。これら脳血管が詰まったり破れて出血したりすることで、脳の働きが悪くなります。これによって、認知症が引き起こされます。

 

脳血管性認知症における症状の進行としては、アルツハイマー病やレビー小体病のように少しずつ病気が進行するのではなく、脳血管障害の発作が起こるたびに段階的に症状が悪化します。

 

脳血管性認知症の病態

 

そのため、脳血管障害の発作を予防することで認知症の悪化を防ぐことができます。

 

認知症における中核症状と周辺症状

 

なお、認知症には「必ず発生する中核症状」と「人によって出たり出なかったりする周辺症状(BPSD)」の二つがあります。

 

中核症状と周辺症状(BPSD)

 

中核症状は認知症によって脳細胞が死滅することにより、必ず表れる症状のことです。認知症である以上、中核症状の発生を抑えることができません。

 

中核症状と周辺症状(BPSD)

 

また、中核症状としては以下のようなものがあります。

 

中核症状

症状

記憶障害

・直前の事を忘れる
・同じことを何回も言う
・忘れ物を何回もする

見当識障害

・今がいつなのか(時間・季節の感覚がなくなる)
・今どこにいるのか(道順の感覚がなくなる)

判断力の低下

・真夏にセーターを着る
・考えるスピードが遅い

実行機能障害

・計画を立てて実行できない
・目的達成の判断ができない

 

このような中核症状に対し、周辺症状は患者さんによって表れたり表れなかったりします。つまり、周辺症状の出方は人によって異なります。

 

主な周辺症状

 

・抑うつ状態
・依存
・不安
・攻撃的行動
・幻覚
・妄想
・睡眠障害
・徘徊 など

 

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