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麻子仁丸の効能:便秘

 

数ある疾患の中でも、便秘は多くの人が悩まされる身近な疾患の一つです。特に女性であれば便秘の人が多く、これによって体調に影響が表れてしまいます。そこで、便秘を解消するために使用される漢方薬として麻子仁丸(ましにんがん)があります。

 

麻子仁丸には、腸管を刺激することで便の排泄を促す作用があります。これにより、便の通りをよくします。

 

 麻子仁丸(ましにんがん)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。麻子仁丸であれば、次のような人が有効です。

 

 ・体力はやや虚弱から中等度
 ・コロコロとした便が出る
 ・腸内が乾燥している

 

コロコロした便というのは、腸内の水分が足りていない状態を意味します。腸内の乾燥によって便に含まれる水分が抜けていくと、便は固く小さくなります。こうなった便は体積が小さくなるため、便が動くことによる腸管への刺激が少なくなります。これが、便秘に繋がります。

 

また、高齢になったり手術をしたりすると、体力が大きく低下してしまいます。このような人の便秘に対して、麻子仁丸が多用されます。そのため、麻子仁丸は高齢者の便秘に使われやすい漢方薬です。

 

なお、漢方の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」や「金匱要略(きんきようりゃく)」に麻子仁丸が記載されています。両者は漢方の原点ともいえる古典です。

 

 麻子仁丸の作用
便秘を改善させる麻子仁丸には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の6種類が配合されています。

 

 ・麻子仁(ましにん)
 ・杏仁(きょうにん)
 ・大黄(だいおう)
 ・厚朴(こうぼく)
 ・枳実(きじつ)
 ・芍薬(しゃくやく)

 

麻子仁(ましにん)と杏仁(きょうにん)には、水を補うことによる保水作用があります。また、大黄(だいおう)は腸管を刺激するため、これによって腸の動きを活発にさせて便秘を解消する働きが知られています。

 

さらに、厚朴(こうぼく)と枳実(きじつ)はお腹の張りや膨満感を抑える作用があります。芍薬(しゃくやく)は痛みを取り除く生薬として知られているため、腹痛などに有効です。このような作用を有する生薬を組み合わせることで、症状を改善していくのです。

 

なお、大黄(だいおう)には子宮を収縮させる恐れがあります。そのため、妊婦に対して麻子仁丸を使用してはいけません。

 

 麻子仁丸の使用方法
麻子仁丸を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。

 

慎重に使用すべき対象としては、「下痢、軟便のある人」「著しく胃腸の虚弱な人」などがあります。麻子仁丸の投与により、症状を悪化させる恐れがあるからです。また、前述の通り、妊婦への投与は避けます。

 

これら麻子仁丸としては、

 

 ・弛緩性便秘
 ・痙攣性便秘
 ・習慣性便秘

 

などの症状に有効です。便秘が起こる原因はそれぞれ異なります。例えば、腸の動きが鈍ってしまうと、内容物が直腸側へ動きにくくなります。すると、便の水分が体内に吸収されて、便は小さく固くなります。これによって起こる便秘を「弛緩性便秘」といいます。

 

また、腸の一部がギュッと狭くなっている状態では、便はそこから先に進むことができなくなります。このように、腸管の痙攣(けいれん)によって便秘が起こっている状態を「痙攣性便秘」といいます。

 

他にも、排便を我慢すると、これに慣れて直腸に便が溜まっても反応しにくくなります。これを、「習慣性便秘」といいます。これらの便秘症状に対して、麻子仁丸が有効です。

 

このような特徴により、主に高齢者や手術後などで体力の弱っている方に使用され、コロコロとした便の出る便秘症状を改善させる漢方薬が麻子仁丸です。

 

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