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麻杏甘石湯の効能:小児ぜんそく、気管支喘息、気管支炎

 

喘息や気管支炎が起こると、激しくせき込むようになります。息をしにくくなるため、運動時だけでなく日常生活にも支障が表れてしまいます。そこで、これら咳症状を鎮めるために使用される漢方薬として麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)が知られています。

 

麻杏甘石湯には、気管支を拡張させて痰を排出しやすくする働きがあります。これにより、咳や気管支喘息の症状を緩和します。

 

 麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。麻杏甘石湯であれば、次のような人が有効です。

 

 ・体力が中等度以上
 ・せきが出る
 ・ときにのどが渇く

 

小児ぜんそくや気管支喘息では、ゼイゼイと咳き込んだり、呼吸が苦しかったりします。このような咳を有する場合、麻杏甘石湯の適応となります。

 

なお、漢方の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」に麻杏甘石湯が記載されています。傷寒論は漢方の原点ともいえる古典です。

 

 麻杏甘石湯の作用
咳症状を和らげる麻杏甘石湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の4種類が配合されています。

 

 ・麻黄(まおう)
 ・杏仁(きょうにん)
 ・甘草(かんぞう)
 ・石膏(せっこう)

 

麻黄には、気管支を広げることで息を行いやすくする作用があります。また、杏仁は痰を取り除く働き(去痰作用)が知られています。さらに、甘草は炎症や痛みを取り去り、石膏は熱を鎮めます。このような作用を有する生薬を組み合わせるのです。

 

麻杏甘石湯が記されている傷寒論では、構成している生薬名をそれぞれ取って「麻黄杏仁甘草石膏湯」と記載されています。ただ、これでは長い名称で読みにくいため、頭文字を取って麻杏甘石湯と簡略化しました。

 

 麻杏甘石湯の使用方法
麻杏甘石湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。

 

慎重に投与すべき人としては、「著しく体力の衰えている人」「胃腸の虚弱な人」「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」「発汗傾向の著しい人」などがいます。これらの人に投与すると、症状の悪化を招く恐れがあるからです。

 

また、麻黄にはエフェドリンと呼ばれる「交感神経を刺激する物質」が含まれています。そのため、重度の高血圧などの循環器障害を有している場合も慎重投与となります。

 

これら麻杏甘石湯としては、

 

 ・咳症状
 ・小児ぜんそく
 ・気管支喘息
 ・気管支炎
 ・感冒(風邪)

 

などの症状に有効です。これら咳症状はアレルギーが関わっています。そこで麻杏甘石湯の作用を確認したところ、アレルギー反応に関わるヒスタミンの遊離を抑制するなど、抗アレルギー作用を有することが認められています。

 

このような特徴により、気管支に対して作用することで気道を広げ、小児ぜんそくや気管支喘息を含めた咳症状に効果を示す漢方薬が麻杏甘石湯です。

 

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