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半夏白朮天麻湯の効能:頭痛、めまい、立ちくらみ

 

頭痛やめまいは生活の質を大幅に低下させる要因の一つです。これらの疾患が命に関わることはほぼないものの、日常生活に支障をきたすという意味で大きな問題になりやすいです。そこで、頭痛やめまいを緩和するために使用される漢方薬として半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)が知られています。

 

半夏白朮天麻湯には、水分代謝を改善することでよけいな水を取り去り、消化器機能を向上させる働きがあります。これにより、頭痛やめまいを和らげます。

 

 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)と体質
漢方薬では、その人の見た目や症状を重要視します。検査値だけではなく、患者さんの様子から「どの薬を使用するのか」を決定するのが漢方薬です。半夏白朮天麻湯であれば、次のような人が有効です。

 

 ・体力が中等度以下
 ・胃腸が虚弱
 ・下肢が冷える

 

このように、体力や胃腸の機能が低下している方の頭痛やめまい、立ちくらみに対して半夏白朮天麻湯が有効です。日ごろから食欲がなく、疲れやすい人に適応される薬です。

 

めまいを生じたとき、漢方では水毒(水分が体内で停滞している状態)を疑います。そこで、半夏白朮天麻湯によってよけいな水分貯留を排泄させることで、めまいの症状を和らげようとします。西洋薬にも、利尿作用によって水分を排泄させ、めまいを改善する薬があります。

 

なお、漢方の古典である「脾胃論(ひいろん)」に半夏白朮天麻湯が記載されています。

 

 半夏白朮天麻湯の作用
頭痛やめまいを改善させる半夏白朮天麻湯には、生薬(しょうやく)と呼ばれる天然由来の成分が含まれています。これら生薬としては、以下の12種類が配合されています。

 

 ・半夏(はんげ)
 ・白朮(びゃくじゅつ)
 ・天麻(てんま)
 ・陳皮(ちんぴ)
 ・茯苓(ぶくりょう)
 ・麦芽(ばくが)
 ・黄耆(おうぎ)
 ・沢瀉(たくしゃ)
 ・人参(にんじん)
 ・黄柏(おうばく)
 ・乾姜(かんきょう)
 ・生姜(しょうきょう)

 

生薬にはそれぞれ役割があり、半夏には悪心・嘔吐を抑える働きがあります。白朮や茯苓、沢瀉には利尿作用があり、尿量を増やすことでめまいを和らげます。また、天麻にはめまいやふらつきを抑える効果が知られています。

 

このようなさまざまな働きをする生薬を組み合わすことで、効果を示すようになります。なお、主薬(主な構成成分)である半夏、白朮、天麻の3つを取って半夏白朮天麻湯という名称になっています。

 

 半夏白朮天麻湯の使用方法
半夏白朮天麻湯を投与するとき、成人では「1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に経口投与する」とされています。食間とは、食事中という意味ではなく、食事と食事の間を意味します。つまり、食後から2時間経過した、胃の中が空の状態を指します。

 

これら半夏白朮天麻湯としては、

 

 ・頭痛、頭重
 ・立ちくらみ
 ・めまい
 ・蓄膿症(副鼻腔炎)

 

などの症状に有効です。消化器機能を改善させて余分な水分を取り去ることで、めまいやふらつきを抑えるのです。ただ、頭痛に用いる薬は他にも存在します。日常的に生じる片頭痛などに対しては「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」を用いるなど、体質や症状によって薬を選ばなければいけません。

 

このような特徴により、胃腸が虚弱で下肢が冷える人に対して利用され、頭痛やめまいを改善するために使用される漢方薬が半夏白朮天麻湯です。

 

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