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役に立つ薬の情報~専門薬学

有機化学の反応性:アルカン・アルキンの反応性、シン付加・アンチ付加

 

 有機化学の記号
有機化学の反応を適切に見るためには、記号の意味を知っていないといけない。私が大学に入学して間もない頃、有機化学の講義でMeOHやEtOH、Bなどの記号の意味がさっぱり分からなくて困った。少なくとも、このページを見てくれた人にはそうならないようにしてほしい。

 

・MeOHってなんだ
-OHはヒドロキシル基だとすぐに理解できると思う。「それではOHの前にあるMeってなんだ?」ということである。Meとはメチル基のことであり、メチル基は英語でmethylと書くので最初の二文字を取ったのであろう。つまり、Me = -CH3 である。

 

同じようにEtOHはエタノールのことであり、Et = -CH2CH3 のことである。

 

・B(ホウ素?)
Bは塩基を表す。BとはBase(塩基)のことである。もちろん、ホウ素の元素記号としてもBを用いるので注意が必要である。

 

・Xとは…
CuXなどのXはハロゲンを表す。XにはCl、Br、Iなどが入る。

 

・R
アルキル基のことである。これは説明しなくても分かると思うが…

 

・Nuって?
Nuとは求核試薬のことである。

 

・D(ex.D2O)
D2Oとは水のことである。ただし、普通の水ではない。Hは質量数が1Hであるが、Dは質量数が2Hの重水素を表す。

 

・dil.とconc.
dilは「薄い」という意味で希薄溶液を指し、concは「濃い」という意味で濃厚溶液を指す。例えば、dil.HClは希HClでありconc.HClは濃HClを表す。

 

・⊿
三角のようなマークであるが、これは「加熱」ということを意味する。

 

 アルカン、アルキンの反応性
・反応
アルケンにハロゲン化水素が付加するとき、二段階の反応が起こる。

 

 アルカン、アルキンへのハロゲンの付加

 

第一段階では吸熱反応であり、高い活性化エネルギーが必要となるためゆっくり反応が起こる。第二段階では発熱反応であり、活性化エネルギーが低いので非常に速く反応が進行する。

 

・カルボカチオン
カルボカチオンの安定性は正に電荷した炭素原子についているアルキル基の数によって決まる。安定性の順番は下の図のとおりである。

 

 カルボカチオンの安定性

 

・マルコウニコフ則
マルコウニコフ則とはアルケンにHXが付加するときに、「水素原子は多くの水素原子をもつ炭素側に付加するという一般則である。

 

なぜこのような法則があてはまるかというと一つ前に紹介したカルボカチオンの安定性により説明できる。例としてプロペンへの臭化水素の付加を紹介する。

 

 

 

高校までの知識がある人ならプロペンに臭化が付加したら、AとBの化合物が生成されると考えると思う。しかし、実際にはAは生成しない。これはマルコウニコフ則に基づくためである。

 

第一段階の状態で二種類のカルボカチオンが生成する可能性がある。この二種類のカルボカチオンは安定性が異なるため、より安定な第二級カルボカチオンを経由して生成するBが実際の生成物である。

 

・反マルコウニコフ則
過酸化物(ROOR)が存在するときに臭化水素をアルケンに付加させると、ラジカル機構で反応が進む。そのため、反マルコウニコフ則が起こり「水素原子がより少ない炭素側に付加する」または「より少ない水素原子をもつ炭素側に付加する」という反応が起こる。

 

これは中間体である2種類のラジカルの種類により、第一級ラジカルよりも第二級ラジカルの方が安定であるからである。ラジカルの安定性を利用することで、マルコウニコフ則に従わない生成物を得る。

 

 

 

 シン付加、アンチ付加
アルカンへの反応では同じ側から付加するシン付加反対側から付加するアンチ付加がある。下にその様子を示す。

 

 シン付加、アンチ付加

 

 シン付加
シン付加の代表的なものに接触水素化、エポキシ化、ヒドロホウ素化がある。

 

・接触水素化
ニッケルや白金などの金属触媒存在下でアルケンは水素と反応しアルカンが生成する。この反応は金属表面で起こるので、同じ側から付加するシン付加である。

 

 

 

・エポキシ化
エポキシドは三員環の環状エーテルのことである。エポキシドの合成にはアルケンと過酸との反応があり、この反応をエポキシ化という。

 

・ヒドロホウ素化
プロペンのように末端に二重結合をもつアルケンをTHFとBH3で反応させるとトリアルキルボランを生成する。付加をするホウ素原子は二重結合の炭素原子のうち置換基の少ない方に結合するという法則がある。なお、「ホウ素を含む置換基はかさ高いため、より置換基の少ない炭素原子に近づく」と覚えていれば、分かりやすいかもしれない。

 

この反応は、まずアルケンの二重結合のπ電子がホウ素原子の空の軌道に入ることから始まる。ホウ素原子は置換基の少ない方の炭素原子と結合する。そのとき、水素原子一つがもう一方の炭素原子と結合する。

 

これと同じ反応が連続で起こり、トリアルキルボランを生じる。

 

 

 

 アルキルボランからアルコールの合成
アルキルボランに塩基と過酸化水素水溶液を加えるとアルコールを得ることができる。この反応は反マルコウニコフ則の反応である。

 

 アルキルボランからアルコールの合成

 

 アンチ付加
ここではアルケンの臭素付加反応についてである。

 

 アンチ付加

 

臭素は通常では分極していない。しかしアルケンに近づくと分極し臭素間の結合が弱められ、ブロモニウムイオンを生じる。次に臭素イオンが反対側から攻撃するため、アンチ付加が起こる。

 

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