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役に立つ薬の情報~専門薬学

パーシャルアゴニスト:部分作動薬

 

 パーシャルアゴニストとは
パーシャルアゴニストは英語で「partial agonist」と書く。そして、「partial」とは「一部分の」という意味がある。つまり、パーシャルアゴニストは「少しだけアゴニストとしての作用がある薬」の総称のことである。

 

アゴニストが生体反応を100%引き出すとすれば、パーシャルアゴニストは生体反応の一部分だけを引き出す。当然、アンタゴニストは生体反応を引き出したりはしない。

 

 パーシャルアゴニストの反応-用量曲線

 

パーシャルアゴニストはアゴニストとアンタゴニストの中間と考えれば良い。そして重要なのは、アゴニスト存在下でパーシャルアゴニストを投与すると、パーシャルアゴニストは部分的なアンタゴニストとしての作用を示すのである。

 

 部分的なアンタゴニストとしてのパーシャルアゴニスト
アゴニスト存在下で、生体反応が100%となるとする。ここにアンタゴニストを投与すると、用量が増えるにつれて生体反応は0%に近づいてくる。

 

ここでアンタゴニストの代わりにパーシャルアゴニストを投与する。すると、完全に生体反応をシャットダウンするのではなく、生体反応を少しだけ残すように作用する。

 

 アンタゴニストとしてのパーシャルアゴニスト

 

これは今まで100%の生体反応を引き起こすアゴニストの代わりに、少しだけ作用するパーシャルアゴニストが受容体に結合したことによって起こったものである。

 

例えば、工事現場を思い浮かべてほしい。大がかりな工事では「ショベルカー」や「ダンプカー」を使うが、これらの機械は仕事を早く、そして効率よく行うための薬で言うアゴニストである。

 

もし、「明日からショベルカーの代わりにスコップを、ダンプカーの代わりに軽トラックを使ってください」と言われれば、当然仕事の効率が落ちる。ここでの「スコップ」や「軽トラック」がパーシャルアゴニストである。今まで100%の仕事効率だったのに、パーシャルアゴニストを投与することで仕事効率が大幅に下がってしまうのである。

 

仕事効率が大幅に下がってしまうが、一応「スコップ」や「軽トラック」などの道具はあるので全く仕事が進まないというわけではない。

 

 パーシャルアゴニストとβ遮断薬
β遮断薬にはISA(+)のものとISA(-)のものがある。ISAとは「内因性交感神経刺激作用」のことである。そして、ISA(+)のβ遮断薬には、まさにこの「内因性交感神経刺激作用」が備わっているのである。

 

ISA(+)のβ遮断薬は「β受容体を遮断するだけでなく、β受容体を刺激する作用をもつ……」となんとも矛盾しているが、これはただ単に、ISA(+)のβ遮断薬はパーシャルアゴニストであるというだけである。

 

パーシャルアゴニストであるため、カテコールアミンやβ受容体刺激薬などのβ受容体刺激因子が存在する場合、ISA(+)のβ遮断薬はアンタゴニストとして働く。しかし、β受容体刺激因子が存在しない場合、アゴニストとしてβ受容体を刺激するのである。

 

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