ビジネス思考への転換

再現性の低い生命科学論文の実情



薬学系も含め、生命科学分野の論文では3分の2以上で再現性が取れないという報告があります。

学術研究では論文発表を誰よりも早く行うことがある意味、使命になります。論文によって自分の成果を全世界に向けて発信し、研究成果を認めてもらわなければいけません。

ただ、何でもよいから発表するのではなく、必ず「再現性」が求められます。再現性とは、論文に書かれた手順に従えば「誰が、いつ、どこ」で行っても同じような結果が得られることを指します。

 ・再現性の重要性

たまたまデータが出たのでは意味がなく、いつ行っても同じ成果が出なければいけません。しかし、生命科学分野では、この再現性がとても低いことが指摘されています。

私も学生時代は研究を行っていましたが、生体(マウスなどの動物)を扱うときは特にこの傾向が顕著に出るように思います。

論文に書かれていることと全く同じ手順を踏んでいるにも関わらず、1つも同じような結果が得られないことがほとんどです。本当にこの論文の内容は正しいのかと疑うことが多々ありました。

そのような手探り状態で実験を組み立てていくため、研究というのはとても難しいなと実感したものです。

論文に書かれていることはあまり当てにならないため、参考程度に留めておく方が賢いです。

これを避けるため、自分が論文を書くときは同じ実験を何回も繰り返さなければいけません。たとえ成果が出たとしても、他の日に実験をすることで同じようなデータが出ることを3回は確認します。

これにより、生命科学の論文として発表するときに自信をもって出すことができます。

 ・生命科学研究の現状

再現性を確保するためには、前述の通り何度も同じ実験を繰り返す必要があります。また、他の研究機関に再実験を依頼する方法もあります。

私も学生時代は同じ実験を行うことで再現性を確認し、他の研究機関と共同研究を行いながら、さらに再現性を検証したことがあります。

ただ、研究というのは成果の発表が1日でもライバル研究者より遅れれば、その研究成果は全て意味がなくなってしまいます。名声も研究資金も全てライバルに奪われます。

そういう意味では、再現性を確実なものにするよりも、早く論文として出してしまった方がその後の研究を行いやすくなるという矛盾もあります。

それでは、再現性が取れなかった論文が捏造かと言うと、必ずしもそうではありません。故意にデータを作り上げることはダメですが、その時に出したデータが間違っていなかったこともあります。

私も経験がありますが、同じ会社の試薬を使っているにも関わらず、ある時を境に出てくるデータが変わってしまうことがありました。使っている試薬自体の品質がわずかに変わっただけでデータが大幅に変化してしまうのです。

このようなこともあり、実のところ微妙な変化の元で成り立っている生命科学分野で再現性を出すのは難しいという現状もあります。その中で再現性も追求しつつも、画期的な論文を出していかなければいけません。

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