研究をするときは、仮説を立てた後に実験を行うことで検証していきます。このとき、誰がいつどこで行っても同じ結果が得られることを要求されます。これを「再現性」といいます。

科学実験では特に再現性が重要になります。たまたま良い結果が出たとしても、「それは偶然ではないのですか?」という質問に反論できないからです。

そこで同じ実験を何度も繰り返し、日にちを変えて実験しても同様の結果を得られることを確かめるなどをしていきます。再現性の検証をするのです。ただ、既に再現性が確立されていたとしても、男女によって実験結果が異なることもあります。

 性別で実験結果が異なる

大学や企業などの研究機関で実験している人は全員経験しているはずですが、再現性が取れないことは頻繁にあります。まったく同じように作業しているにも関わらず、結果が大きく異なるのです。

しかも、これがマウスなどの動物を扱う実験となると、そのバラつきは大きくなります。生体を扱う以上、同一条件は難しいからです。

そのような中、「男女の違いによってマウス実験の結果が異なる」ことが明らかになっています。これは、Nature Methodという世界的にも権威ある雑誌に掲載されています。

男性がマウスの実験を行うと、男性の匂いによってマウスに強いストレスがかかります。これが原因となり、実験結果に影響してしまうというものです。

痛みの実験では、女性よりも男性が行った実験の方が約35%も有意に痛みを抑制したことが分かっています。男性がその場にいなくても、男性が着ていた衣服があるだけで影響を及ぼします。

ちなみに、女性ではこのようなストレス反応は起こらないことも明らかになっています。

 科学実験の検証は難しい

素人感覚でいえば、科学実験で毎回同じような結果を出すことは当たり前のように思います。しかし、実際は同じ結果をコンスタントに出す方が難しいことも多いです。男女の違いによって実験結果が異なるくらいなのです。

今回の報告は「マウスを用いた痛みの実験」に関するものです。しかし、マウスが受けたストレスによって結果が異なってしまうのは、痛みの実験だけではないはずです。

研究員を全員女性にすれば今回の問題を解決できますが、現実的ではありません。このように、実験での再現性は難しいものです。自分の性別や身に付けているものが実験結果に影響を及ぼすこともあるからです。

ただ、このような偶然性があるからこそ、偉大な発見に繋がっていることが多いのも事実です。世の中は分からないことが多いため、それを解明することに大きな意味があります。